冬のボーナスがカギを握る!? 回復の兆しが見え始めた国内経済

2021年12月19日 08:52

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感染対策と冬の寒さ対策をしっかり行えば、あとは懐の温かさだけだ。そこで気になるのが、今年の冬のボーナスだ

 宣言と解除が繰り返された緊急事態宣言も、10月を最後に発出されることが無くなった。待ってましたという方も、恐る恐るという方も、少しずつ飲食や旅行が再開され始め、国内の経済活動の回復が進んでいる。新たな変異株の脅威も取り沙汰されてはいるが、経済活動の本格的な再開もまた、急務と言えるだろう。感染対策と冬の寒さ対策をしっかり行えば、あとは懐の温かさだけだ。そこで気になるのが、今年の冬のボーナスだ。

 内閣人事局の発表によると、今年の冬に国家公務員へ支給されたボーナスは、管理職を除いた職員の平均支給額が、およそ65万1600円。昨年の支給額と比べておよそ2000円、率にして0.3%ほど少なく、4年連続の減少となったそうだ。新型コロナで打撃を受けた民間企業の給与などへの影響を考慮する必要がある為、来年の夏のボーナスも減少すると見られている。ただ、ボーナス自体が出ない民間企業も多い現状を鑑みれば、支給されるだけで羨ましいという声も聞こえてきそうだ。

 それでは、民間企業のボーナス事情はどうだろうか。やはり経済の冷え込みの影響を受ける企業が多く、あまり良いニュースが聞こえてこない。ただ、コロナ禍の対応で増額に転じている企業もある。木造注文住宅を手がけるハウスメーカー・株式会社アキュラホームだ。コロナ禍に加えて、世界的に木材の供給が不足したウッドショックの影響も受ける厳しい状況の中、前年同期の業績を大きく上回る増収増益を実現。1人当たりの冬のボーナス平均支給額を、前年同期比15%アップするまでに至った。しかもコロナ禍に見舞われた昨年の夏のボーナスから、連続で増加しているというから驚きだ。

 同社は新型コロナの流行に伴い、展示場の来場者が減少するという逆境に立たされたが、コロナ禍での需要に応える新商品の販売開始や、分譲事業などの新組織の発足などを実施することで、新たな客層の開拓を積極的に行なった。更にワクチンの職域接種や災害扶助などの社会貢献活動を社員全員で取り組んだ結果、顧客とのコミュニケーションをとる機会が増加し、紹介が増加したそうだ。まさしく、災い転じて福となした結果と言えるだろう。

 素材需要の回復に伴い、繊維業界も好調の兆しを見せている。大手化学企業の東洋紡株式会社では、冬のボーナスが昨年に比べて15.7%増額となった。感染対策などでも使われる工業用フィルムや、PCR検査試薬の販売が増加したことなど、新型コロナに関連する分野でも、順調に売上を伸ばした。今年の4~9月期の営業利益が過去最高となったことが、ボーナスの支給額を押し上げた要因と考えられる。

 コロナ禍の痛手によって、冬のボーナスが減額、または支給自体が無くなってしまった企業もたくさんある。ただ、これから順調に経済回復するためには、個人消費の増加が非常に重要となってくる。今の時点で懐が温かい方が消費してくれることで、経済が上向きになり、更に多くの人々の個人消費に繋がっていく。「金は天下の回りもの」と言う言葉を信じて、コロナ禍で冷え込んだ寒い季節を乗り切りたいものだ。 (編集担当:今井慎太郎)