【コラム】トリガー条項凍結解除、消費税減税こそ必要

2022年01月30日 09:59

画・カ_ソリン続落!顧客争奪戦か_激化…需要減少て_厳しい状況

「25円の課税停止」と政府が「石油元売り会社への補助金最大5円を投じる」政策では、経済に与える実効性、クルマ社会での庶民の精神的負担感の軽減には、相当な差がある

 政府は経済がどれほど傷んでも、万人が公平・公正に恩恵を受けるはずの「トリガー条項」の凍結解除と「消費税減税」に手を付けず、財源確保に固持するようだ。一方で富裕層や金融所得への課税強化、法人税強化に手を入れることもしない。

 岸田政権は「成長と分配」を主張するなら、安倍政権下で加速した新自由主義による弊害打破と新型コロナウイルス感染症拡大のために大きく傷んだ経済と庶民の暮らし応援のために本腰を入れるべきだ。

 本腰の象徴は消費税減税と「ガソリン」価格への大ナタ振りだ。レギュラーガソリン1リットルあたりの価格が3か月連続160円を上回った際、翌月から1リットル当たり53円80銭の税金のうち、25円10銭の課税を一時停止し、ガソリン価格の引き下げを図る「トリガー条項」の凍結を解除すること。

 岸田文雄総理、鈴木俊一財務大臣は26日の衆院予算委員会で国民民主党・浅野哲議員から「トリガー条項の凍結解除」を求められても拒否した。

 鈴木大臣は「トリガー条項が発動された場合、ガソリンの買え控えや反動による流通の混乱、国・地方への財政への多大な影響などの問題がある」などとし「凍結解除は適当ではない」と答弁。財源確保優先の本音を浮き彫りにした。

 「25円の課税停止」と政府が「石油元売り会社への補助金最大5円を投じる」政策では、経済に与える実効性、クルマ社会での庶民の精神的負担感の軽減には、相当な差がある。

 トリガー条項はガソリンを対象にしているので、軽油や灯油などへの価格上昇抑制や上昇に伴う支援には、政府が取り組もうとしている政策を実行すれば良い。

 鈴木財務大臣は「灯油や重油を使う農業、漁業者等への支援、自治体や地域の実情に応じた対策を行う際の支援を強化している」と国会で答弁していた。

 しかし、岸田総理や鈴木大臣は浅野議員の指摘の重さを真摯に受け止めるべきだ。「トリガー条項は法律として成立している。すでにある法律を凍結し、別の対策を打つというのは、立法府が決めたことを軽視しているのではないか、との指摘もある」。

 「指摘もある」と語ったが、立法府に身を置く議員としては、立法府を軽視する対応をとるなと言いたかっただろう。トリガー条項凍結解除を英断すべきだ。

 加えて、消費税減税を検討すべきだ。消費税は社会保障費の財源だと手を付けたがらないが、消費税導入以来の消費税税収450兆円。450兆円を得ながらほぼ同時期の法人3税(法人税・法人事業税・法人住民税)はどうなっていたか。日本共産党によると、法人3税は消費税導入時期からこれまでに323兆円減り、所得税・住民税も286兆円減ったという。消費税が法人税と所得税減収で消えていた。

 成長と分配をテーマにする岸田内閣は支払い能力に応じた税負担制度に是正すべき。所得税、法人税の見直し、金融所得課税の見直しを実現し、新たな財源確保を図る中で、消費税率の引き下げを行うことが必要だ。早急な取り組みを強く期待する。(編集担当:森高龍二)