新型コロナワクチンの3回目のブースター接種が大幅に遅れている。計画を超える速さで進んだ2回目接種の時と対照的だ。この遅延の背景にはワクチン効果への不信と政府の対応に対する不信もありそうだ。2回目までの接種の際は企業の職域接種が積極的に行われたが、今回のブースター接種に際しては、企業の従業員に対する直接の推奨となる職域接種には慎重で、職域接種を実施・検討している企業は2割にとどまる。企業が多大なコストを負担し実現した職域接種にもかかわらず感染予防には大きな効果が無く第6波が到来したこと、副反応による事故や後遺症が少なからず報告されているにもかかわらず、政府がそれを自己責任としていることなどが職域接種に消極的になっている理由としてあげられている。
2月16日に帝国データバンクが「3回目のワクチン接種に関する企業の取り組みアンケート」(期間:2月10日~15日、有効回答:1842社)の結果レポートを公表している。これによれば、「3回目接種に関する企業の取り組み内容」について聞いた結果では、「(従業員の)各自の居住地(自治体)での接種を推奨」が62.1%と6割を超えダントツで多くなっている。次いで、自衛隊や行政の集団接種など「大規模接種会場での接種を推奨」が21.0%と続いている。一方、「各中小企業団体が主催する共同接種に参加」10.4%、「取引先企業などと合同で接種を実施」5.9%、「自社が指定した外部の医療機関などに社員が出向き接種を実施」5.9%、「外部の医療機関などが出張し社内施設での接種を実施」1.6%、「企業内の診療所などで接種を実施」1.1%など職域関連での接種を実施・検討すると回答した割合の合計は22.3%にとどまった。
自由回答欄を見ると、「中小企業での集団接種は極めて難しい」(鉄鋼・非鉄・鉱業、群馬県)という意見もある一方、「副反応のこともあり個人の判断にまかせようと考えている」(専門サービス、愛知県)、「接種を希望しない従業員も一定数いる。ワクチン接種の効果に対する不信(2回接種してもオミクロン株に感染する)もあり、より丁寧な説明が不可欠」(建材・家具等卸売、群馬県)、「もしも副作用や後遺症が生じても国ではワクチン接種は自己責任として扱われるため、会社側から推奨するなどの対応が取りづらい」(情報サービス、東京都)など副反応や後遺症、予防効果などでワクチンそれ自体に対する不信、国の対応に対する不信が少なからず存在しているようだ。(編集担当:久保田雄城)