2月24日、ロシア軍が突如ウクライナに侵攻し、ウクライナ側の激しい抵抗が続いている。すでに市街地に対する無差別砲撃も行われている模様で、紛争の長期化を懸念する声も聞かれる。これを受け、米・欧は国際資金決済網であるSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシア大手銀行を排除することで合意、27日には岸田総理も同措置に日本も加わる方針を表明している。これらの制裁によりロシア経済が大打撃を受けることは間違いないが、ロシアは資源や小麦の主要輸出国でもあり、ロシアやウクライナと直接取引のある企業のみでなく、原油・天然ガスなどエネルギー価格や穀物価格の上昇などにより日本企業を含めた世界経済全体に大きな悪影響が広がる恐れがある。
2月28日、帝国データバンクが「ウクライナ情勢による企業活動への影響(直接・間接)アンケート」(調査期間:25~28日、有効回答:1437社)の結果を公表している。これによれば、「マイナスの影響がある」と答えた企業の割合は61.0%に上る。さらに「わからない」も21.3%となっており、5社に1社は影響を図りかねている状況のようだ。具体的な内容は、「原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰」や、これに付随する「物流コスト増大」、これによる「原材料価格」や「電気代などの高騰」などと、やはりエネルギー価格の急騰とそれから波及する原価高騰が最も強い懸念材料のようだ。
「マイナスの影響がある」と答えた企業を業種別にみると、やはり原油価格高騰で直接的に影響を受ける一般貨物自動車運送などを含む「運輸・倉庫」が76.9%と約8割にまでになっている。また、穀物価格の高騰が懸念材料となっている「飲食料品・飼料製造」では75.9%が、レアアースなどの取引規制が懸念される「鉄鋼・非鉄・鉱業」は73.4%が「マイナスの影響がある」と答えている。
自由回答欄では「ロシアは小麦の世界的生産地であるため値上がりの懸念がある。また、原油高より全ての商品・運輸サービスに影響がある」(飲食料品・飼料製造)と原油高、穀物高騰からあらゆる商品に悪影響が波及するという懸念も見られる。また「半導体関連の材料の供給に問題が生じるのではと懸念する。中国の動きによっては経済活動自体が制限される恐れもあるのでは」(鉄鋼・非鉄・鉱業)と中国の反応、半導体不足のさらなる深刻化をも懸念する声も見られる。(編集担当:久保田雄城)