露が北方4島エリアを経済特区に 政府は遺憾

2022年03月11日 06:40

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ロシアが北方領土を含むエリアで所得税や固定資産税など最大20年間免除する税制を決め、国内外からの企業進出を促す事実上の「経済特区」を設定した

 ロシアが北方領土を含むエリアで所得税や固定資産税など最大20年間免除する税制を決め、国内外からの企業進出を促す事実上の「経済特区」を設定したことに関して、松野博一官房長官は10日の記者会見で「ロシア法令に基づく事を前提に、北方4島を含む地域の経済開発に関する特恵制度を導入すること、日本企業及び第3国企業にそのような経済開発への関与を広く呼びかけることは北方4島に関する日本の立場や首脳間の合意に基づき日露間で議論してきた北方4島における共同経済活動の趣旨と相容れない。ロシア側がこのような制度に踏み切ったことは遺憾。改めてロシア側に申し入れた」とした。

 ネット上では、ロシア側のこの措置に「北方領土問題を国際問題として、諸外国の対応を求め、それでも北方領土に進出する外国企業には厳正な措置を講ずるべきだ」と日本政府に対応を提言している。

提言者の東海大学海洋学部・山田吉彦教授は「ロシアはウクライナ問題を踏まえ、領土問題に厳しい姿勢を示す。特区指定すると中国、韓国の企業が進出する。中国は北極海航路開発への布石だ。択捉島を基点にする事で、太平洋と日本海の二系統を持つことになる。また、北太平洋での漁業拠点となる企業育成を進める。市場規模は小さくとも、布石を打って置きたいところだろう。韓国は、カニをはじめとした水産企業が進出する。実際に既にロシアの韓国系企業が進出している。何より、中国、韓国ともに日本への外交交渉カードの一枚を持つ意味でも進出することだろう。日本政府は、対露外交において、北方領土問題だけを切り抜くことは、既にできない」と警鐘を鳴らしている。(編集担当:森高龍二)