全国知事会は30日、政府に対し、ロシアによるウクライナ侵略での原発への攻撃などを踏まえ「原発は差し迫った脅威」として、ミサイル攻撃などに対する自衛隊による迎撃態勢や部隊配置に万全を期すよう、緊急要請を行った。
原発への武力攻撃が生じれば原発事業者に運転停止命令を行うなどの迅速対応も当然求めた。
日本では現在10基が再稼働、7基が再稼働許可を得ている。10基は許可申請中で、申請していないが今後申請予定のものも9基ある。
2017年当時、長妻昭衆院議員が予算委員会で原発がミサイル攻撃を受ければ、核ミサイル着弾のような効果が狙えると安全面での態勢を質したが、原子力規制委員会は「ミサイル攻撃は国家間の武力紛争に伴って行われるもの、その対応は想定していない」などと驚くべき答弁をした。
弊社は3月13日付けコラムで「あらゆる事態を想定し『原発の安全確保』ができているか、判断するのが筋。危険度の高い『原発』に想定外は認められない。旅客機を使ったテロはもちろん、ミサイル攻撃も想定し、安全対策ができているか、原発再稼働基準の見直し、点検をこの際に行うことが必要」と求めた。原発には「安全最優先」での対応が最も強く求められている。
中国新聞は3月8日の社説で「日本国内の原発が武力攻撃を受けた被害の予測を、外務省が1984年、極秘に報告書にまとめていたことが、明らかになっている。最悪の場合には大量の放射性物質が漏出して1万8000人が急性被曝で死亡し、86キロ圏が居住不能になる、というシナリオだ。その公表は結局、見送られた」と報じている。
原発の危険性を予測しながら、こうした議論を回避してきた政府の在りようは見直さなければならない。(編集担当:森高龍二)