ホンダは4月5日、米ゼネラルモーターズ(GM)と3万ドル(400万円弱)のプライスゾーンに向け新たな電気自動車(EV)を共同開発し、2027年から世界販売すると発表した。世界的に販売の中核となっているコンパクトなB/CセグメントのSUVなど複数の車種を共同開発する。部品や設備を共通化してコストを抑え多EVの販売拡大を図る。
1999年の日産・ルノー連合以降、混成気になって自動車業界で進んだ合従連衡から距離を置き、独立路線を堅持してきたホンダだったが、この先のEV時代を見据えた戦略にシフトする。
両社は、GMが研究開発を進めている次世代アルティウム(Ultium)バッテリーを搭載した新しいアーキテクチャーをベースとするEV群を共同開発し、両社の関係を新たな領域へと拡大するとした計画を2020年に発表した。
両社はそれぞれ、自動車メーカーとして世界トップクラスの技術力や設計力、品質と高い生産性に加え、製品の高い価格訴求力を実現してきた。両社で設備の共通化などで目標として掲げたのは、2027年以降、数百万台規模でのEV生産だ。目標とする2027年のEVのマーケットを1300万台超/年規模と捉え、最大のセグメントであるコンパクトSUVを含む、グローバルモデル市場投入を目指す。
さらに両社は電動化コストの低減、EVの性能やサステナビリティの向上を目指し、次世代EV向けバッテリー技術の領域における協業も積極化する。
GMは、すでにリチウム電池やシリコン電池、全固体電池などの新技術の研究開発を加速している。一方ホンダは、今後のEVの重点要素といえる独自の全固体電池技術の研究開発を日本国内の実証設備にて生産技術の検証などを進展させており、両社のバッテリー技術のシナジー高価にも期待が高まる。
GMとホンダは、長年にわたり協業関係を構築しており、2013年には次世代燃料電池システムや水素貯蔵技術の共同開発を開始。2018年にはホンダがGMによるバッテリーモジュール開発の取り組みに参加した。2020年には、2024年上半期発売予定の「Honda Prologue」とその後に続くアキュアラブランド初のSUVのEVモデルの共同開発計画を発表している。
さらに2020年9月に両社は、北米での4輪開発に向けて、幅広い協業の検討について覚書を交わした。 GMとホンダの関係は20 年以上前から続いており、燃料電池やバッテリー、自動運転モビリティサービス事業といった協業に取り組んでいる。
今回のEV開発での協業の領域は、両社間の車両のプラットフォーム&パワートレーンの共同開発・共有、共同購買、生産効率意外にもさまざまな領域の取り組みに発展し、ベストな技術とコスト効率向上を目指す。また、GMとホンダは、共同で開発するプラットフォーム&パワートレーンに関する研究開発費用を共同負担することも検討している。
もちろん先進技術の導入、時代変化への対応も必要不可欠だ。これらに効率的に取り組むために、両社協業においては、プラットフォーム 、次世代ADAS、インフォテインメント、コネクティビティ、V2Xなどの先進技術分野に関する研究開発を両社で行う可能性も検討していくという。
具体的な動きの一環として両社は、GMのコネクテッドサービス「On Star」のセーフティ&セキュリティ機能を、ホンダの新型EV2車種に組み込み、「Honda Link」に統合すると発表した。その機能統合を基に、両社のOn Starの機能活用を調査。インフォテインメントを含む将来のコネクテッドサービスについても両社で検討する。
ホンダは2040年までにすべての新車をEVと燃料電池車にする方針を掲げている。EV 開発においてソニーとの提携も発表しており、多様な協業でEV普及を進める。(編集担当:吉田恒)