コロナ禍で迎える、3度目の春。まだまだ感染の勢いは続いているものの、桜の花が咲き誇る爽やかな季節の中、入学式や入社式の明るい話題も日本全国各地から届いてくる。オンラインでの入社式もすっかりお馴染みとなった昨今だが、次代を担う新入社員の門出を祝うため、今年は様々な工夫やテーマを持たせた入社式も見受けられる。
例えば、木造注文住宅を手がけるアキュラホームグループは毎年、同社の伝統として「カンナ削り入社式」を開催していることで有名だが、今年はそれに加えて「日本一エコな入社式」 を目指して開催された。
4月1日に行われた今年の入社式は昨年同様、新入社員から対面形式での開催を望む声が多くあったため、感染症対策を実施した上で1か所に集まって開催。また全国17拠点をオンライン接続し、各エリアの拠点長やSABM各社の新入社員などもオンライン参加して行われたが、同日は 「 プラスチック資源循環法 」の施行日 でもあったことから、同社が掲げるESG経営、SDGs 活動について社会人 1 日目から考える機会にしてほしいという思いを込め、各会場から使い捨て用品やプラスチック製品を排除し、再生可能資源を使用。アキュラホームが世界で初めて開発に成功したカンナ削りの「木のストロー」や、竹のカトラリーを使用 し、脱プラスチック弁当で昼食を楽しんだ。
また、日産自動車の入社式も4月1日にオンラインで開催されたが、こちらは式の冒頭に内田誠代表執行役社長兼CEOが祝いの言葉とともに、失敗を恐れず、勇気をもって、積極的に行動し、
情熱をもち、革新に挑戦し続けることが日産のDNAそのものであり、さまざまな困難を乗り越えるなかで、常にチャレンジ精神を持って一緒に未来を作っていきましょうと新入社員たちを激励。その言葉を体現するかのように、今回の入社式の企画進行は入社わずか3~6年目の若手社員たちが担当するという演出だった。
そして事務機器、光学機器などのメーカーであるリコーは、感染防止の観点から従来型の入社式は中止したものの、オンラインでの開催ではなく、同社の山下良則社長自らが新入社員一人一人と言葉を交わす「個別入社式」を実施した。新入社員たちはそれぞれ、山下社長に直接「手に取った人がわくわくするような製品を作りたい」など、これからの社会人生活にかける熱い意気込みを伝えていた。また、当日の様子は同社の360度カメラ「RICOH THETA」でのライブストリーミング配信を行い、新入社員の家族も故郷から視聴し、わが子の門出を見守ったという。
コロナ禍だけでなく、ウクライナ危機や気候変動など、新社会人たちを待ち受ける今の世の中の状況は決して安泰といえるものではないかもしれない。それでも、この困難な状況に果敢に立ち向かい、大きな糧とし、これからの日本を元気に支える大切な力となってほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)