岸田文雄総理は熊本でのアジア・太平洋水サミット首脳級会合でのスピーチで「気候変動や貧困などの世界が直面する社会課題を、官民協働により、デジタルやイノベーションの力をいかして解決し、同時に、持続的な経済成長につなげる新しい資本主義の実現を目指している」と冒頭にアピールした。
具体には「国内1500ダムの相互のデータ連携を強化し、治水効果を最大限に発揮させるため、AI(人工知能)によるダムへの流入量予測や操作を最適化する技術開発を進めている。ダムだけでなく、下水道や農水用施設を含めてインフラを最適に運用するとともに、土地利用の工夫や水田・ため池の持つ貯水機能を積極的に活用して流域治水に取り組んでいる」と紹介した。
そのうえで、岸田総理は(1)アジア太平洋地域に3万基以上ある既存ダムは我が国が有するハイブリッド技術を導入することで、治水・利水能力の向上といった気候変動適応策と水力エネルギーの増強といった気候変動緩和策の両方を環境負荷の増大を伴わず、早期に実現することができる、とした。
また(2)科学技術の実装には水管理の実務を担う人への投資が重要。我が国が構築しているデータ統合・解析システムや各国機関と連携した共同研究等による支援を行い、人材育成に貢献する、と述べた。
また(3)基礎的生活環境の改善等に向けた取り組みとして、水提供や衛生施設等が質の高いインフラとして経済成長のエンジンとなるよう、ハードのみならず、インフラの運用操作へのデジタル化や最新技術の導入を支援する、とし、「熊本水イニシアティブ」に基づき、今後5年間で約5000億円の支援を実施する、と語った。(編集担当:森高龍二)