緊急事態条項は権力濫用の危険高い 日弁連指摘

2022年05月06日 15:18

 ロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰りかえすなど安全保障環境が厳しさを増す中で、自民党を中心に改憲勢力は「憲法への緊急事態条項」創設や衆議院議員の任期延長などが声高にしているが、日本弁護士連合会は5日までに「立憲主義の堅持と国民主権原理の尊重を求める立場から、憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する」と表明した。

 日弁連の小林元治会長は理由について「緊急事態条項は『権力分立を停止し、政府に立法権や予算議決権を認めるものである』ことから、極度の権力集中による『政府の権力濫用』の危険性が高い」と警鐘を鳴らした。

 また緊急事態条項を根拠に「人権保障を停止することから、営業の自由や財産権のみならず『表現の自由』や『報道の自由』等、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される危険性もある」と指摘。

 そのうえで「日本国憲法は、過去の緊急事態条項の濫用の歴史にも鑑みて、あえてこれを設けることをせず、緊急事態には、あらかじめ平時から個別法を制定して対処するという立場をとっているものと解される」と法の専門家の立場から解説している。

 また衆議院議員の任期延長議論についても「選挙自体を延期する制度を創設すべき」と提言している。日弁連は「公職選挙法の改正を速やかに行い、大規模災害が発生した場合であっても選挙を実施できる選挙制度に改めるよう」求めている。

 これは「憲法が前文及び1条で『主権が国民に存する』ことを宣言し、15条1項で公務員を選定し、これを罷免することは国民固有の権利であると定め、国民に対し、主権者として、両議院の議員の選挙において投票することによって国の政治に参加することができる権利を保障していること、地方自治についても93条2項において、住民が直接これを選挙するものと規定し」選挙権が極めて重要な権利であること、行使を制限することは原則として許されない(最高裁判例、2005年9月14日・在外日本人選挙権はく奪違法確認等請求事件)ことを踏まえたもの。(編集担当:森高龍二)