コロナ禍やウクライナ情勢で世界的なサプライチェーンの混乱が伝えられている中、産業機械の受注、輸出の動向は堅調のようだ。5月19日、日本産業機械工業会が3月分の受注統計(産業機械受注、産業機械輸出契約、環境装置受注)を公表した。これで2021年度分のデータが出そろったことになり、合わせて年度集計分も公表している。
3月分の受注状況を見ると、受注高は7141億7400万円で前年同月比は108.0%とプラスの伸びとなった。このうち内需は4521億6800万円で前年同月比は102.2%と微増であったが、製造業向けは前年同月比130.5%の大きな伸びとなっている。一方、非製造業向けは同79.0%と大幅に減少した。民需が同102.0%、官公需102.3%、代理店103.5%となっている。増加機種は、ボイラ・原動機103.5%、タンク132.5%、送風機120.8%、運搬機械116.3%、変速機106.6%、その他機械136.7%の6機種となっている。外需は2620億600万円で前年同月比は119.9%とふた桁の伸びで、増加機種はボイラ・原動機214.9%、鉱山機械148.0%、プラスチック加工機械114.9%、 ポンプ115.1%、送風機290.6%、運搬機械101.6%、変速機100.0%、金属加工機械267.1%、その他機械166.9%の9機種となっている。
21年度分は4兆9494億円で前年度比は98.4%、内需が増加したものの外需の減少により前年度を下回った。内需では製造業が前年度比125.3%と伸びたものの、非製造業が同94.0%と2年連続の減少となった。需要別では地方公務の増加により官公需が同105.4%と3年連続の増加となっている。外需は中東の減少により前年度比83.3%の1兆6162億円となっている。
3月の主要約70社の輸出契約高は2494億8200万円で前年同月比121.4%、プラント案件は無く、プラントを除いた単体機械のみでは165.9%の大幅な伸びとなっている。地域別構成比は、アジア67.3%、北アメリカ23.9%、ヨーロッパ3.4%、中東2.3%、オセアニア1.9%、前年同月比は、もともと構成比の小さいロシア・東欧は数値が出ない状況だが、構成比の大きいアジアが201.3%、北米386.0%と大きく伸びているほか、南米が277.0%、オセアニアが244.8%、ヨーロッパ119.6%と大幅な増加だ。
今のところウクライナ情勢の悪影響はなく、内需も堅調でアジア向けを中心に外需が大きく牽引している状況のようだ。(編集担当:久保田雄城)