日本経済団体連合会は19日、「ロシアのウクライナ侵略に端を発する戦闘において、宇宙の安全保障利用が顕在化している」とし「戦闘状況の把握に民間の衛星画像が活用されているほか、民間の低軌道衛星コンステレーションによる通信や電波情報収集衛星が利用されている。測位衛星(GPS)により、車両、UAV(無人航空機)、ミサイルなどの位置が確認されている」などとして「宇宙の安全保障利用の現状を踏まえて、わが国としても宇宙安全保障の取組みの強化が必要」との提言を発表した。
具体的には「早期警戒機能を保有する小型衛星コンステレーションの構築が急務」とし「周辺諸国による極超音速滑空ミサイル(HGV)の急速な開発に対応し、宇宙から同ミサイルを探知・追尾できるようにする必要がある。早期警戒機能を確保するため技術開発を推進すべき。具体的には国産宇宙用赤外線検出素子の継続的な高解像度化・高感度化、それに合わせた赤外センサシステムの継続的な開発などが必要」などと提言。
一方、宇宙開発事業には企業にとってリスクが大きいとして、契約制度の改善を求めた。経団連は「製品の新規性や技術的な難易度のため、開発リスクが高く、開発成果を利用して量産する事業機会が少ないといった特徴がある。宇宙関連企業が宇宙事業の継続に必要な基盤を強化するため、契約制度の改善が必要」とした。
経団連は「開発難易度の高さや長期間にわたる履行に伴って想定していない追加費用が発生した場合、企業側は利益から費用を負担せざるを得ないのが実情だ」とし「開発難易度の高い契約におけるリスクを考慮した利益水準の設定やコストプラス契約の適用などの仕組み、契約履行期間中の不可避なコスト高騰(材料・部品等の大幅な値上がり等)の反映を可能とする契約の仕組みなどを検討することが求められる」と要望している。
また政府の宇宙関係予算について「毎年度、5000億円以上を継続的に確保すべき」と求めた。(編集担当:森高龍二)