広がるボランティアによる植樹活動、今後の課題は

2012年11月26日 11:00

 CSRにおいて、製紙業や飲料メーカーにはかねてから多く見られた植樹事業。その植樹が、近時ではボランティア活動の一種として定着し、様々な企業がツアーを実施している。

 イオンの旅行会社で、アメリカをはじめとして中国・アセアン諸国への流通視察・海外視察ツアーを主に提供しているイオンコンパスは、国内外で植樹を中心とした社会貢献ツアーを実施。イオン環境財団が国内外で企画する植樹祭を中心に、植樹活動に参加するツアーを企画・実施しており、今年もすでにベトナムへの植樹を実行、11月にも南島原植樹ツアーが実施されるという。

 また資生堂も、ヘアケアブランド「TSUBAKI」の原料産地「長崎県五島列島」にて椿の植樹・保全ボランティアを実施。事業活動と一体となった環境活動として、今年も10月6日、7日の2日間にわたり計72名が約160本の椿の苗木を植樹、生長したこれらの苗木からは約10年後に「椿油」がとれ、「TSUBAKI」に配合される見込みだという。

 山田養蜂場は、開発途上国に対する自立支援活動の一環として、1999年からネパールでの植樹を開始。以来毎年活動を続けており、植樹本数は合計で387,550本にも上る。14回目となる今年度も11月24日から28日の活動を予定している。

 環境省のデータによると、世界の森林面積は約40.3億ヘクタールで、全陸地面積の約31%を占めている。しかし、世界の森林は減少を続けており、2000年から2010年まで平均で毎年520万ヘクタールが減少しているという。特に、南アメリカ、アフリカなどの熱帯の森林を中心に減少面積が拡大。一方、日本の森林面積に大きな変動はなく、中国やインド、ベトナムを中心とした温帯林では森林面積が増加している国も見られ、その主な要因が活発な植樹活動となっている。世界的なボランティアや企業による環境保全活動が功を奏している反面、対象地域が偏在しているとも言える状況である。今後の植樹活動が、森林が減少している地域にも拡大することを期待したい。