広島市原爆死没者慰霊式・平和祈念式で岸田文雄総理は「77年前のあの日の惨禍を決して繰り返してはならない。唯一の戦争被爆国である我が国の責務であり、被爆地広島出身の総理大臣としての私の誓いだ」と強調した。
そのうえで「核兵器による威嚇が行われ、核兵器の使用すらも現実の問題として顕在化し、『核兵器のない世界』への機運が後退していると言われている今こそ、広島の地から、私は、『核兵器使用の惨禍を繰り返してはならない』と声を大にして、世界の人々に訴える」と世界に向け発信した。一方で、演説では「核兵器禁止条約」には言及さえしなかった。
岸田総理は「我が国は、いかに細く、険しく、難しかろうとも、核兵器のない世界への道のりを歩んでいく。『非核三原則を堅持』しつつ、厳しい安全保障環境という現実を核兵器のない世界という理想に結び付ける努力を行っていく」と訴えた。
また「努力の基礎となるのは核兵器不拡散条約(NPT)だ」とした。岸田総理は「来年、この広島の地で、G7サミットを開催する。核兵器使用の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを世界に示し、G7首脳と共に、平和のモニュメントの前で、平和と国際秩序、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値観を守るために結束していくことを確認したい」と述べた。
式典にはアントニオ・グテーレス国連事務総長はじめ、被爆者や遺族ら約2900人が参列した。(編集担当:森高龍二)