【コラム】旧統一教会名称変更理由、岸田総理が開示指示を

2022年08月13日 16:32

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2015年に統一教会が「世界平和統一家庭連合(略称・家庭連合)」に名称変更したいと申請した際、下村博文文科大臣の下で比較的すんなりと認証された

 2015年に統一教会が「世界平和統一家庭連合(略称・家庭連合)」に名称変更したいと申請した際、下村博文文科大臣の下で比較的すんなりと認証された。背景に政治力が働いたのか。

 名称変更の目的、理由はどういう内容だったのか。教団が申請時に資料として提出した「内部会議議事録」でも理由に関する議事部分は黒塗りにされ、開示されていない。開示すれば家庭連合の利益を損なう理由があるというのだろうか。

 第2次岸田内閣組閣前の今月8日、末松信介文部科学大臣(当時)は「宗教法人法上、規則変更の認証申請を受理した場合には、所轄庁は同法第28条規定(規則変更の認証規定)に基づき審査する。要件を備えていると認めた時は、認証する旨の決定を行う。元次官(前川喜平元文部科学事務次官)の話しているような『法人の実態が変わっていないことを理由に名称変更に関する規則の変更を認証しない』ということは考えにくい」と事務的な処理をせざるを得ないような無責任発言を行った。

 当時、被害は継続していた。霊感商法対策弁護士連絡会はそのために名称変更を認証しないよう申し入れていた。

 それでも末松氏は「申請内容が法令に規定された(形式的)要件を備えていることを確認し、認証決定を行ったと認識している。不認証とすべき事案でなく、宗教法人審議会に掛ける案件ではなかった」と霊感商法が問題になっていた経緯を全く無視した形式論で正当化した。

 しかし宗教法人法14条は「文部科学大臣が所轄庁であるとき、『認証不可』の場合、決定前に宗教法人審議会に諮問しなければならない」としており、諮問の余地はあったのではないか。霊感商法問題を踏まえれば審議会に掛けるべき案件ではなかったか。

 名称変更により、旧統一教会と「世界平和統一家庭連合」が同一と認識できず、被害にあった人がいたのではないか。現に「統一教会は統一教会であることを隠して一般人に近づき、勧誘、被害者が生まれた」との報道もある。

 前川元文科事務次官は旧統一教会の反社活動を踏まえ、名称変更の申請を抑制するよう働きかけてきた経緯を立憲民主党のヒアリングで語り「申請内容に実態が伴っていない場合には認証しない判断をし、宗教法人審議会に掛ける道があった」と明言している。

 認証しないことで訴訟されることがあっても勝つ可能性もある、文化庁担当者が事前に下村大臣に報告した際、大臣が判断しているはずと「政治力」が働いたとする。旧統一教会問題に取組んできた有田芳生前参院議員も『政治力』を指摘している。

 そして今も明らかにされない「名称変更理由」。有田前参院議員が情報公開申請で得た資料ではこの部分はすべて黒塗り。日本共産党の宮本徹衆院議員が求めた情報公開請求でも同様だが、なぜ開示しないのか。当時の責任者である下村氏でさえ「わたしも迷惑を受けている。黒塗り部分を是非開示してもらいたい」とマスコミ取材に語っている。

 末松前大臣、下村元大臣の説明の是非も明らかになる。なぜ開示できないのか、開示されない場合、徹底究明を国会の場で行うことが必要だ。

 岸田総理は第2次岸田内閣組閣後の記者会見で「宗教団体でも法令から逸脱する行為があれば厳正に対処すること、法相はじめ関係閣僚においては悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して万全を尽くすよう、徹底して国民から信頼される行政運営を行っていくこと」と異例の指示を行ったことを強調した。

 「国民の声をきき、信頼と共感を得る政治を実現するという基本からブレることはない」とアピールした。であるなら、名称変更理由にどう書かれていたのか、政治の力は働いていなかったのか、岸田総理は是非「情報開示」するよう指示を出していただきたい。(編集担当:森高龍二)