車載用リチウムイオン電池、xEV市場拡大で2倍超の急成長。中国、欧州が牽引

2022年08月25日 07:41

画・BEV(電気自動車)、25年にシェア16%超え普及期段階へ。30年に25%までシェア拡大。

矢野経済研究所が「車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査」。2021年の市場は前年比220.9%%の371.1GWh

世界の自動車市場はコロナ禍で前年比マイナスが続いている。しかし、欧州、中国を中心に内燃車からxEV(各種電気自動車)へのシフトが加速しており、xEV関連の市場は拡大傾向だ。これに比例し車載用LiB(リチウムイオン電池)の世界市場も拡大傾向で推移しており、2021年には前年比で2倍超えとなる急成長になっており、特にピュアEVでの成長が目立ってきている。

 先月、矢野経済研究所が「車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査」の結果を公表している。これによれば、21年における車載用LiBの世界市場は容量ベースで前年比220.9%の371.1GWhとなっている。欧州や中国を中心にxEV(EV、PHEV、HEV)の市場が成長しており、この市場拡大と連動し車載用LiB市場も拡大した形だ。タイプ別に見ると、HEVが前年比168.2%の4.7GWh、PHEVが同188.9%の32.2GWh、EVが同225.6%の334.1GWhとピュアEVでの拡大が目立っている。EVではTeslaが引き続き大きな存在感を示し、欧州ではVWが「ID.3」に続き「ID.4」の販売台数を伸ばしている。中国では20年に続き低容量EVの販売が増加傾向となっている模様だ。

 米国でも再び電動車注力へのシフトの動きが見られる。21年12月にはバイデン政権が燃費基準を見直し、26年までに55mpgを達成する新規制を発表、また30年までに新車販売の50%をxEVとする目標を定めるなど普及政策を推し進めており、今後米国でもEVシフトが加速して行くと見込まれる。日本では20年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」が出され、また30年代半ばまでにICE車の新車販売をゼロにする目標が掲げられ、その他にもxEV促進政策の予算は増額傾向だ。

 こうした各国の普及政策を考慮した成長率高めの「政策ベース予測」では、25年に1228.4GWh、30年には2020.4GWhになるとレポートは予測している。一方、普及拡大に向けた各種課題解決にある程度の時間を要すると前提した成長率低めの「市場ベース予測」では、25年で808.1GWh、30年には1163.0GWhになると予測されている。いずれにしろ、日米欧中その他各国ともに環境に配慮したxEV導入政策を積極的に行っており、EV市場拡大は確実で、これに連動し車載用LiBの市場成長も加速して行くと見込まれる。(編集担当:久保田雄城)