現在、自動車の自動運転機能で実用化されているのは、システムが運転操作の主体となり、ハンズフリーが可能なレベル3までとなっている。しかし、価格面などの理由からレベル3が普及するには今しばらく年月がかかりそうだ。当面はドライバーが運転操作の主体となるレベル1とレベル2が主流となり市場形成がなされる見込みだ。レベル2の中でもADAS(先進運転支援システム)を搭載しハンズオフ(限定的な手放し運転)が可能なレベル2+を各メーカーが市場投入しており、2020年代はレベル2・レベル2+が自動運転車市場をけん引すると見込まれている。
8月24日に矢野経済研究所が「自動運転システムの世界市場に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、21年における自動運転システムの世界搭載台数は4097万6019台で、前年比17.5%増の高い伸びとなっている。レベル別には、レベル1が2517万3873台で全体の61.4%を占め、次いでレベル2が1493万5260台、ADAS搭載のレベル2+は86万6786台、レベル3は日本市場のみ100台となっている。世界の新車販売台数におけるADAS/自動運転システムの搭載率は49.7%、前年から5.4ポイント上昇し、約半数に達している。
20年から最も搭載台数が拡大したのはレベル2で、車両に搭載するADAS用センサ(フロントカメラ/レーダ)の高性能化も進展している模様だ。レベル2+については、日米自動車メーカーで搭載が進んでおり、前年比72.8%増の大きな拡大となっている。レベル3についてはホンダが世界初の実用化を発表し、100台限定でリース販売したもののみとなっている。
今後は日米欧中でADASの標準搭載が進むと見込まれ、23年にレベル1の搭載台数は2800万台でピークアウトし、24年にレベル2が3000万台を超え、レベル2の市場規模がレベル1を上回るとレポートは予測している。25年のADAS/自動運転システムの世界搭載台数は6739万6560台となり、世界の新車販売台数おける搭載率は70.6%まで上昇すると予測されている。
レベル別に予測台数をみると、レベル2が約3502万台で全体の52.0%を占め主流となり、次いでレベル1が2128万2671台、同31.6%、レベル2+が1068万8221台、同15.9%、レベル3が40万4940台、同0.6%となっており、レベル2・レベル2+が市場をけん引する見込みで、レベル3は高級車を中心に27年以降の市場形成になるとレポートは見込んでいる。(編集担当:久保田雄城)