拉致被害2人一時帰国の北提案拒否も国会論点か

2022年09月20日 08:17

 拉致被害者問題。安倍内閣は北朝鮮が拉致被害者だった田中実さん(失踪当時28歳)金田龍光さん(同26歳)の2人について、2014年~15年ごろに「一時帰国」を提案したが、安倍内閣が幕引きを警戒して拒否したと共同通信が報じた。拉致被害2人の一時帰国の北朝鮮提案を拒否した安倍政権の判断の是非を含め、国会の論点になりそうだ。

 両氏を巡っては2020年に有田芳生参院議員(当時)が国会で「田中さんって誰ですか」と尋ねた際、当時の安倍総理は「田中さんはラーメン店店員でした」などと答えた。有田氏は「共同通信が19年12月26日、拉致情報・政府高官が封印との記事を配信した。田中さんら2人生存。2人が北朝鮮にいることが6年前に北朝鮮が言ってきたのに、なぜ、封印されているのか」と質した。

 安倍総理は「今後の対応に支障をきたす恐れがあるため、報道の逐一について答えることは差し控える。政府としては全ての拉致被害者の1日も早い帰国を実現すべく引き続き努力する」とした。

 有田氏は「少なくとも安否確認すべきではないのか」と質した。安倍総理は「全ての拉致被害者の方々の安否確認については政府として全力をあげている」と理解できない答弁に終始した。一時帰国を実現していれば、少なくとも、貴重な現地情報を被害者当事者から入手できた。にも関わらず、なぜ拒否したのか。当時の安倍総理の判断の是非についても、当事者亡きまま、10月に予定の国会で論点のひとつになりそう。(編集担当:森高龍二)