個人預金や現金1千兆円の株式市場流入を狙う

2022年10月06日 06:33

 岸田文雄総理は「所得倍増」を「資産所得倍増」にすり替え、個人の金融資産2000兆円のうち、1000兆円以上が預金・現金で保有されていることを踏まえ、株式市場など投資に流入させようと「資産所得倍増プラン」を年末に策定する。経団連などが求めている政策に一つ。

 4日の新しい資本主義実現会議では個人金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるべく、NISAの抜本的拡充や恒久化について検討し、年末の来年度税制改正において結論を得るとした。

 会議委員の1人、シブサワ・アンド・カンパニーの渋澤健氏は資産所得倍増計画について、NISAを簡単で全国民が使いやすい制度設計に徹底すべき。次世代を含む全国民が利用できるように、未成年者にも解禁すべきなどと提示した。

 一方、委員でもある連合の芳野友子会長は「わが国の金融資産の半分以上が預金・現金で保有されているのは将来不安への高まりが背景にある」とし「NISAなどの抜本的な拡充を検討する前に、将来不安の払しょくにつながる『社会保障と税の一体改革』『持続的に賃金が上昇する経済の実現』『低所得者へのセーフティネットの充実』などに取り組むべき」と提案した。

 また「資産所得格差の拡大をもたらさないためにも、投資優遇策は金融所得課税の強化を含めた所得再分配機能の強化とあわせて行うべきである」と求めた。(編集担当:森高龍二)