防衛費財源 法人税に関し回答せず 岸田総理

2022年11月01日 06:45

 岸田文雄総理は28日の記者会見で防衛力の抜本的強化、防衛費の大幅増額を目指すとしている中、安定財源の確保に「法人税の増税」の意見が与党幹部からも出ているが、総理の考えはとの記者団の問いに、法人税に関して回答しなかった。

 岸田総理は「現在、与党間協議、有識者会議で議論が進められている」とし「財源については具体的な内容がしっかり決まった上で考えていかなければならない」などとした。

 岸田総理は「防衛力強化といっても中身は様々。どれだけ恒久的に維持しなければならない政策か、一定期間契約を結んで充実させなければいけないものなのか、内容によってそれにふさわしい財源というものを考えていかなければならない」とし「防衛力強化の内容を積み上げ、それに応じ予算の額を明らかにし、財源を考えていく」とこれまでの答弁の範囲を超えなかった。

 岸田総理は「具体的な財源について、一体的議論の結果として明らかにしていかなければならない」と述べるにとどまり、法人税増税の意見に関してのコメントを避けた。

 法人税は安倍政権下で28%だったものが23%にまで引き下げられている。しかも補助金など諸制度の運用で大企業の税負担は実質、中小企業の半分近くに軽減される。その結果、企業の内部留保は500兆円近くに膨れる。

 膨張する防衛費の財源を安定的に賄うには法人税率を大企業に限り28%に戻すとともに、金融所得に対する課税率を引き上げる事で得られる増収分を充てること。防衛費を国債で賄うことは際限のない防衛費拡大につながる懸念が指摘されている。(編集担当:森高龍二)