防衛力5年以内抜本強化を国際観艦式で総理表明

2022年11月08日 06:55

 岸田文雄総理は世界12か国の海軍などが参加した6日の「国際観艦式」で参加国の海軍リーダーらに、ロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮の核・ミサイル開発を俎上に挙げ「地域の平和と安定を確保するためには対話による安定した国際秩序の構築を追求することが基本だが、ルールを守らず、他国の平和と安全を武力の行使や武力による威嚇によって踏みにじる者が現れる事態に備えなければならない」などと強く訴えた。

 そのうえで日本として「(日本は)防衛力を5年以内に抜本的に強化する」とし「国民を守るためにあらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速している。なかでも海上防衛力は我が国の戦略環境を大きく左右する。艦艇増勢、ミサイル対処能力強化、隊員の処遇改善を含め強化は待ったなしだ」との認識を伝え「日米同盟の抑止力・対処力をより一層強化していく」こともアピールした。「自主防衛力の抜本的強化」という事実上の「軍拡」に歯止めがかからない状況だ。

 岸田総理は観艦式で「半年以上も緊迫した情勢が続くロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、欧州のみならず、アジアを含む国際社会全体にとって深刻な事態。また東シナ海や南シナ海を含め、我が国を取り巻く安全保障環境は急速に厳しさを増している。北朝鮮はかつてない高い頻度で新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含む弾道ミサイルの発射を繰り返しており、我が国上空を通過させる形での発射も強行した。北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できない」と述べた。

岸田総理は「(観覧式参加国海軍と)自衛隊との信頼関係をさらに強固なものに」と期待を語るとともに「自由で開かれたインド太平洋実現のため、皆さまの国々を始め、諸外国との協力関係を一層深めていく」と連携、協力を呼び掛けた。

 また観艦式と合わせて開かれる「西太平洋海軍シンポジウム」に関して「1988年の開催以来、2年ごとに西太平洋地域の海軍リーダーが集い、協力的なイニシアティブについて議論を交わしてきた。現在22のメンバー国と8のオブザーバー国から構成され、それぞれのバックグラウンドは異なるが、全ての加盟国が信頼を醸成することを目指す、多国間海軍協力の枠組みになっている」として、成果に期待を寄せた。(編集担当:森高龍二)