若者の車離れが指摘されてから久しい。若者層が車自体に興味を示さなくなったという調査も存在するが、警察庁の統計では20代の運転免許保有率は1990年代から90%以上を維持している。若者層の雇用の不安定化などで収入が減少し購買力が低下していることが主な要因と指摘する見方もある。しかし、近年、中古車購入に意欲的な若者層が増えてきているようだ。リクルート自動車総研の調査では、過去1年間に中古車を購入、または購入検討した20歳代、30歳代の約半数が「次も中古車を買おうと思う」と回答し、購入単価も他の世代より高く、買い替えサイクルも短い傾向があるという。
11月30日、リクルート自動車総研が「中古車購入実態調査2022」(調査期間:8月、調査対象:全国18~69歳の男女のうち、直近1年以内に中古車を購入または購入検討した者4287名)の結果レポートを公表している。これによれば、22年の中古車市場規模は推計3兆5578億円、15年以降拡大傾向だったが22年は6121億円の縮小となった。
一方、購入単価は156.6万円で、前年より1.6万円増加し、年々増加傾向のようだ。価格帯で最もシェアが大きいのは約2割を占める「50~100万円」であるが、「200~250万円」での増加が目立っており、「従来のリーズナブルな中古車を求める層と、それ以外の新車購入も十分視野に入る予算で中古車を購入する層と大きく2つに大別」できるとレポートは分析している。世代別に見ると、30代が「174.2万円」、20代が「165.0万円」と若者層で購入単価が高くなっており、これが単価上昇をけん引しているようだ。
購入サイクルについて見ると、前回購入したクルマの平均乗車期間は全世代では6.3年だが、20代では3.9年、30代は5.7年となっており、若い年代で平均乗車期間が短くなっている。次回の中古車購入意向について見ると、「次も中古車を買おうと思う」と回答した者の割合は全世代で43.6%となっているのに対し、20代では48.0%、30代は48.9%と約半数になっており、30代以下の若い層で中古車購入意向が高いようだ。
レポートでは「若者中心に『価値あるものを短サイクルで』乗り継ぐ購買行動」が見られるとし、若い世代の服を買い替えるような消費行動の特徴が中古車購入にも反映されており、ここに「市場全体を活性化させる鍵」があるとレポートは指摘している。(編集担当:久保田雄城)