2022年の流行語大賞に「顔パンツ」という言葉がノミネートされた。「顔パンツ」とはマスクのことであるが、コロナ禍の長期化で脱マスクに抵抗感を持ち、顔を隠し続けたいという風潮を揶揄(やゆ)する否定的な用語のようだ。政府は屋外など感染リスクが低い場所での脱マスクを奨励している。その背景の一つには、インバウンド再開に向け外国人の入国規制を緩和したにもかかわらず、インバウンドの実績は芳しくなく、その理由の一つにマスク社会である日本に外国人が抵抗感を感じ旅行先として忌避されているということがある。
美容・健康機器メーカーのヤーマンの調査によれば、マスクを外すことを「恥ずかしい」と感じる者は約半数にのぼり、しかも、感染予防に関係なく「何もなくてもマスクを着けていたい」と回答している者も約半数となっている。日本のマスク文化は女性を中心にコロナ流行以前からで、主に美容面から顔を隠すマスクを着用するケースが多いようだ。
12月8日、ヤーマン表情筋研究所が11月に20~50代男女400名を対象に実施した「マスクを外す生活に向けての意識」等を調査した結果を公表している。これによれば、「最近マスクを外すのが恥ずかしいと感じることがあるか」との質問に対して、45.3%の者が「感じる」と回答している。「何もなくてもマスクをつけていたいと思うようになったか」との問いには、49.5%が「思うようになった」と答えている。コロナ禍の長期化で感染対策に関係なく「マスクをつけていたい」と思うものが男女の合計で半数にまで達している。
「マスクを外す生活に向けて対策を行っている」と回答した者は全体で35.8%、男女別には女性が45.5%とやはり女性で多いようだ。特に、20代女性では66.0%、30代では64.0%と若い女性では約3人に2人となっている。対策の具体的内容については、「スキンケアを変える」11.0%、「ハンドマッサージをする」8.8%、「メイクの仕方を変える」8.5%がトップ3となっており、やはり脱マスクへの抵抗感は女性を中心に美容面での理由が背景となっているようだ。
女性の美容面でのマスク文化はコロナ前からであり、さらにコロナ禍の長期化でマスク着用が男女問わずマナー化してしまっている。感染対策と関係なくマスクをする者は男女合計で半数にも達しており、脱マスク社会になるには、まだまだ時間がかかりそうだ。(編集担当:久保田雄城)