文献調査2自治体のみ、厳しい現実 核ゴミ処理

2022年12月25日 10:27

 経済産業省は23日開いた「高レベル放射性廃棄物の最終処分関係閣僚会議」で「過去5年間で約160回の説明会を全国で実施してきたが、関心を持つ地域は未だに限定的だ」と報告するとともに「全国のできるだけ多くの地域で『文献調査』に取り組むことが重要だが、現在、北海道2自治体(北海道の寿都町と神恵内村)以外に調査実施自治体が出てきていない」と厳しい状況を報告した。

 特に「負のイメージを払拭できず、最終処分実現が社会全体の利益であるとの認識が広く共有されていない」「最終処分への拒否感から、首長や議会・商工関係者等に直接働きかける機会が少ない」「処分地選定プロセスにおける、首長の判断にかかるプレッシャーが非常に大きい」現実をあげた。

 実際、処分地候補地として文献調査の受け入れやその先への進捗は自治体首長にとっては住民を二分することは目に見えており、自身の進退問題にもつながる重大事案になることは避けられない状況だ。

 経産省は(1)文献調査受け入れ自治体等への国を挙げての支援体制の構築(2)国と関係自治体との協議の場の設置(3)関心地域への国からの段階的な申入れ、などより積極的に国が自治体に働きかけていく必要がある、と求めている。

 松野博一官房長官は23日の記者会見で「高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けて、経済産業大臣を中心に、関係大臣が連携して具体的な対応方針を取りまとめるよう指示した」と語った。最終処分関係閣僚会議は総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(科学技術政策)、内閣官房長官で構成。官房長官が主宰している。(編集担当:森高龍二)