大掃除とともに、ぜひ確認して欲しいこと。自助、共助、そして住宅展示場?

2022年12月28日 09:49

防災確認

大掃除の際には掃除と並行して、常備薬や非常食、防災関連グッズなどのチェックも忘れずに行うようにしたい

 年の瀬に差し掛かり、少しずつ大掃除に取り掛かり始めている家庭も多いのではないだろうか。コロナ禍で在宅時間が増えたこともあり、普段から家の中を小まめに片付けたり、清潔に保つように心がけたりしている家庭は多いと思うが、大掃除は不要なものを処分したり、普段はできないような細かい部分まで念入りに行いたいものだ。

 また、大掃除の際には掃除と並行して、常備薬や非常食、防災関連グッズなどのチェックも忘れずに行うようにしたい。例えば、非常食の定番である缶詰の消費期限は約2~3年、レトルト食品で約2~7年、アルファ化米は約3~7年、長期保存パンは約1~5年くらいといわれている。いざという時に期限切れで使えない、なんてことにならないようにしたいものだ。消費期限をチェックして、古いものは食べて新しいものに取り換える「ローリング・ストック」のタイミングを年末の大掃除にしておけば、忘れずに済むのでおススメだ。

 ここ数年はコロナ禍の影響もあり、自然災害に対する防災意識が以前よりも低くなっているようにも思われるが、それはとても危険なことだ。国土交通省が公表している資料によると、とくに日本周辺の太平洋沖合には、海溝型地震を起こす陸と海とのプレートの境界があり、海溝型地震の発生間隔が数十年から百年程度と短いこと、M6.8以上の活断層地震は過去125年間に平均して6年に一度起きていること、さらに日本列島には未確認のものも含めて多くの活断層が分布しており、全国どこでも地震が発生する可能性があることが記され、その切迫性に警告を発している。地震だけでなく、気候変動の影響で、降水強度の増加による豪雨の高頻度化や甚大な水害の発生なども増えている。また、国土の約30%が何らかの災害リスク地域で、災害リスクに曝される人口の比率は、将来的に全体の70%に及ぶと予測している。

 災害への対策は「自助」「共助」「公助」の3つに分けることができる。「自助」とは、災害が発生したときに、まず自分自身や家族の身の安全を守ること。「共助」とは、地域やコミュニティなど、周囲の人たちが協力して助け合うこと。「公助」とは、県や市町村、消防や警察、自衛隊などの公的機関による救助や援助のことだ。中でも、災害直後の状況下では、被災状況の規模や状況にもよるが、最悪の場合、救助や援助の人手が足りず、「公助」が遅れてしまう場合も想定される。そのような状況ではとくに、自ら守る「自助」と、近隣で助け合う「共助」の備えが、被害を最小限に食い止めるため、そして生き残るための重要なポイントになるのだ。この考えは、およそ28年前の阪神淡路大震災や、12年前の東日本大震災をはじめとする大災害の経験を経て、国民の間にも広まっており、積極的に自助や共助の取り組みを行う企業や団体も増えている。

 例えば、木造注文住宅メーカーのアキュラホームグループと、同社が主宰する全国工務店ネットワークのジャーブネットでは、災害時はもちろん、普段の生活用水としても利用できる井戸や井戸付き住宅の開発を進めていたり、全国200にも及ぶ同社の拠点に防災機能を整備し、災害時には自宅で安心な避難生活ができるようサポートする体制を整えている。さらに、災害発生時には、全国の住宅展示場などを「災害時支援施設」として電力の供給や井戸水の提供、備蓄品の提供など、帰宅困難者を受け入れる体制を整えている。今年9月にも群馬県で初の、もしもの時に「災害時支援施設」となる住宅展示場を上毛新聞マイホームプラザ よしおかパークにオープンした。同施設では、日産自動車株式会社、日産プリンス群馬販売株式会社と災害連携協定を締結することで、住宅展示場で常に電力の供給を可能としており、災害発生時には地域住民の大きな助けとなることが期待されている。

 災害はいつどこで発生するか分からないし、被災経験のない人はとくにどこか他人事のように考えている人も多いのではないだろうか。しかし、発生してからでは備えることができないのも災害だ。年末の大掃除で、防災リュックから期限切れの非常食が大量に出て来るような人はとくに、自分や家族、大切な人をもしもの時に守るため、改めて心に警鐘を鳴らしてほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)