凸版印刷、「屋外文化財バーチャル体験システム」の開発を発表

2011年10月26日 11:00

 凸版印刷は、文部科学省の委託研究「複合現実型デジタル・ミュージアム」の一環として、東京大学池内研究室と共同で装飾古墳を対象とした「屋外文化財バーチャル体験システム」を開発したことを25日に発表した。同システムは、複数の鑑賞者が同じバーチャル空間を共有しながら、それぞれ異なる視線でバーチャル空間内を体験できるものである。

 「屋外文化財バーチャル体験システム」は、複数の鑑賞者がヘッドマウント型ディスプレイを装着し、三次元形状計測や色彩計測などの高精度三次元計測により作成された文化財の三次元データを自由な視線で体験できるもので、このシステムを用いることによって、通常立ち入ることができない貴重な文化財や、現存していない遺跡などを、実物に基づいたバーチャル空間の中で自由に鑑賞することが可能となる。

 開発の背景には、保存上の理由から一般公開を行っていない文化財も多く、調査目的であっても容易に立ち入ることができないものも数多く存在することが挙げられる。このような文化財を安全に調査・研究し、同時に広く一般に向けて公開する手段として現在、デジタルアーカイブに対する期待が高まっています。同社は2007年より、東京大学池内研究室と共同でデジタルアーカイブのための高精度三次元計測技術の研究開発を行っている。高精度三次元計測技術には三次元形状計測や高精度色彩計測、微細形状計測などがあり、これらを駆使することによって、文化財の精確な三次元データを取得することができる。取得した三次元データは、専門家による文化財の調査に使用されるほか、博物館などで一般の来場者が鑑賞できる映像コンテンツとして活用できる。