サステナビリティ社会の世界的農業新基準「GGAP」。UCCが業界で初めて取得

2023年02月12日 10:32

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GGAPはヨーロッパを中心に世界120カ国以上に普及している世界基準の農業認証で、農業版ISOとも呼ばれるほど厳格な管理が特徴の国際基準

日本でもすっかり浸透してきた「サステナビリティ」(持続可能性)という言葉。でも「サステナブルな商品」とは何かと問われると、正しく答えられる人はまだまだ少ないのではないだろうか。サステナブルな商品とは、ただ単純に環境にやさしいエコな商品であるというだけではなく、生産から販売、消費、廃棄まで一貫して、環境や経済などに配慮しているものを指す。とはいえ、一つの商品に対して、消費者がいちいちそれを気にして買い求めるようなことはしないし、それを求めるのも現実的ではない。そこで一つの指針となるのが、各業界で実践されている認証制度だ。

 例えば、農業では「GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ・以下GGAP)」という認証制度がある。GGAPはヨーロッパを中心に世界120カ国以上に普及している世界基準の農業認証で、農業版ISOとも呼ばれるほど厳格な管理が特徴の国際基準だ。GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)の頭文字を取って、G.A.P.(ギャップ)と表記され、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランドとして広がっている。今や、事実上の国際標準となっており、欧米の大手小売をはじめ、先進各国ではGGAPの認証を取得した生産者からの仕入れや輸入が優先されるようになってきており、取引先の信頼性向上や企業価値向上においても必須のものになりつつある。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村の食材調達の基準にも採用されたことも記憶に新しい。

 日本でも、サステナビリティへの取り組みに積極的な企業はやはり、GGAP認証の取得にも積極的な姿勢を見せている。例えば、日本のコーヒー産業のリーディングカンパニーであるUCCグループもその一つだ。同グループは、コーヒー産業が気候変動を始めとする環境問題や人権などの社会問題と深く関係していることから、同社独自の「UCCサステナビリティ指針」を制定し、サステナブルなコーヒー調達の仕組みの推進やバリューチェーンでの温室効果ガス排出量の大幅な削減、さらに高校生や大学生に向けたオンラインセミナーを発信するなど、サステナブルな取り組みを強化・推進している。そして先日、UCCグループのUCCハワイコナコーヒー直営農園では、コーヒー農園としては世界でまだ2例目、日本企業では初のGGAP認証を取得したのだ。

 GGAPの条件は厳しく、生産性の改善に寄与する項目として、IPM戦略(病虫害対策) 、土壌栄養分・施肥計画管理、作物の品質管理が必須要件として厳格に管理される。この管理手法の導入により、歩留まりが改善することが期待でき、更にコーヒーの処理工程で生じる副産物の堆肥化など、環境負荷の低減に寄与するサステナブルな農園経営が行えていることもチェックの対象となる。

 一つ一つの商品に対して、一般の消費者が細部までチェックをするのは不可能だ。でも、厳しい認証を受けている商品ならば、安心して購入することができる。そして、それが一般の消費行動がサステナビリティにつながることにもなるのだ。(編集担当:今井慎太郎)