【コラム】泉氏は代表進退ライン示し決意伝わる動きをせよ

2023年05月14日 09:31

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野党第1党の席さえ維持できるのか、党の立ち位置、目指す社会像が鮮明になっていない中、先の衆参補欠選挙で公認候補が全滅した立憲民主党

 野党第1党の席さえ維持できるのか、党の立ち位置、目指す社会像が鮮明になっていない中、先の衆参補欠選挙で公認候補が全滅した立憲民主党。10日開かれた党の両院議員懇談会で泉健太代表は次期衆院選挙で獲得議席が150に届かなければ代表を辞任する考えを示した、との報道が複数ある。

 現行の97議席から1.5倍超とかなり高い『引責辞任ライン』といえる。ここまで引き上げて選挙戦に臨む姿勢は一定評価できるが、肝心の数字の裏付け、情勢分析はどうなのか。退路を断って戦うことを宣言することで党の団結を図ることにはなりそうだが、党がどの方向に、どういった社会像を目指しているのか。枝野幸男氏が立党した当時のような、鮮明に有権者に伝わる「社会像」が見えてこないことに苛立ちを覚える。そのことが「党に勢い」をつけられない最大理由ではないのか。

 と、思っていたところへ、泉代表がこうした報道にツイッターで、なんと「出来なかったら辞任。という発想ではなく、立憲民主党の議席を伸ばすという決意と覚悟を示しました。立憲民主党は米国民主党のように中道とリベラルが主軸の党として、皆様の生活を向上させるために働きます」などと、早速、辞任を否定。

退路を断って戦い、150を割って辞任することになっても続投したければ改めて代表選挙に立候補し、党員らの審判を仰げばいい話。少なくとも、選挙終了までは「辞任」を否定すべきではない。リーダーシップと見通しの弱さ、覚悟のなさを自ら浮き彫りにするツイッターだ。

 統一地方選、国政補欠選挙を議題にした両院議員懇談会に衆院議員71人、参院議員35人が出席した。党HPで泉氏は「国政選挙ではあと一歩というところであったにせよ、負けてしまった。克服しなければならない課題があると思っております。党の足らないところについて、皆さんから意見をいただきながら、強化させていきたい」と述べたとしている。足らないのは泉氏の覚悟のなさだろう。

 「とにかく候補者を1人でも多く全国で擁立していく作業に取り組んでいく。150以上の選挙区での候補擁立。(1)平和を望むなら立憲民主党(2)防衛増税ではなく国民優先の政治にするなら立憲民主党(3)多様性のある社会を作るならば立憲民主党(4)人を大事にする改革ならば立憲民主党(5)共助や公助を伸ばしたいならば立憲民主党、国民にそう言っていただけるよう一緒に力を合わせて全力を尽くしてまいりたい」と呼びかけたとしている。

 「背水の陣で臨む」泉氏の決意を発信するなら、次期衆院選挙で獲得議席が150に届かなければ代表を辞任する考えを党HPで知らせるくらいの勢いがあってしかるべきだろう。合わせて、党の目指す「社会像」、次期衆院選に示すべき政策(公約)の全体像を紹介することがここでできていなければ、なぜ150につなげられるのか。

NEWSポストセブンが衆院選289選挙区の当落緊急シミュレーションを政治ジャーナリストの野上忠興氏の協力を得て行った結果を9日に報じた。立憲の数字は「現状か最大136の幅が示されている。自公が議席を減らす一方、維新は倍増、立憲は現状以上、国民・共産・れいわは現状となっている。筆者は立憲が現状以上の数字とるには、泉氏が進退を明確にして戦うか、代表の顔を挿げ替える覚悟がなければ実現しないと感じている。

G7広島サミット終了後、岸田総理がどのような情勢分析をするのか、今夏の衆院解散総選挙につながるのか、泉氏は代表進退ラインを示し、決意が国民に伝わる動きをするよう強く望む。(編集担当:森高龍二)