東電 1㎥の処理水を1200㎥の海水で希釈

2023年08月24日 06:39

 東京電力は22日、福島第一原発事故により増え続ける放射性物質に汚染された水のALPS処理水を24日から海洋放出するため、ALPS処理水が想定通り希釈できていることを確認するために、1立方メートルのALPS処理水を約1200立方メートルの海水で希釈し、放水立坑(上流水槽)に貯留。今後、貯留した水を採取し、トリチウム濃度を確認のうえ、24日以降、第2段階として連続して海洋放出をすると発表した。

 東電は「設備運用の安全・品質の確保」、「迅速なモニタリングや正確で分かりやすい情報発信」、「IAEAレビュー等を通じた透明性の確保」、「風評対策」「損害発生時の適切な賠償」に全力で取り組んでいくとしている。

 そのため体制を強化するとして(1)副社長が現場に駐在・監督する。社長も現場確認する(2)発電所・風評対応・賠償等の関係部署を横断的に統括する「社長直轄プロジェクトチーム」を立ち上げる(3)ALPS処理水の海洋放出に伴う影響に特化して、情報を発信・風評対策・賠償対応に関し、一元的に対応する専任体制を構築、担当役員を配置する、と発表した。

 東電は放出にあたっては(1)水質を均一にしたうえで当社と外部機関が、それぞれ放射性物質の濃度を測定・評価し、トリチウム以外の放射性物質の告示濃度限度比総和が1未満であることを確認できたものだけを放出する。

 (2)ALPS処理水はトリチウム濃度1500ベクレル/㍑未満(これは国基準の40分の1)、 年間トリチウム総量22兆ベクレル未満(事故前の放出管理値)を遵守して放出する。

 (3)処理水ポータルサイトではALPS処理水の海洋放出における各設備での状況について1つにとりまとめたページ、「ALPS処理水海洋放出の状況」を公開する。

 (4)海域の状況を客観的、包括的に示すため、当社の他、関係省庁や自治体などが公表した様々な地点での海域モニタリングの結果を収集し、地図上で一元的に閲覧することができるWebサイトを開設するなどの取組みを示した。(編集担当:森高龍二)