事実上の与野党一騎打ちとなった今月22日投開票の参議院高知・徳島選挙区補選は無所属で出馬した元立憲民主党衆院議員の広田一氏(55)が、公明党推薦で岸田文雄総理自ら選挙区入りし応援した自民党公認・西内健氏(56)に9万票の大差をつけ勝利した。合区選挙区で自民候補が敗れたのは初めて。
当選確実の速報に「立憲、共産など支援の広田候補当確」のテロップが流れたのが印象的だった。国民民主、社民も支援していた。
衆議院長崎補選では自民候補が接戦を制したが、もともと保守地盤の選挙区で接戦に持ち込んだ野党の善戦は岸田政権が国民から如何に評されていないかをうかがわせた。
補選結果を受けて、立憲民主党・泉健太代表は岡田克也幹事長、安住淳国対委員長とともに日本共産党・志位和夫委員長、小池晃書記局長、穀田恵二国対委員長と会談。泉氏は「次期総選挙で与党の議席を最小化するため力を合わせたい」と語り、志位氏は「市民と野党の共闘、連携し力を合わせていくことは大事」と歓迎。
一方、共産党との選挙での連携を拒否している国民民主党の玉木雄一郎代表は泉氏との会談にさえ「生産性がない」とテーブルにつかなかった。原発と安保で沿わないようだ。ただ、この反応に驚くこともない。玉木氏は奈良市内で7月に記者団に「共産や共産と組む政党とは一切調整しない。立憲民主党が共産と組むなら、候補者調整や選挙協力はできない」とすでに語っていた。
立憲としては連合との絡みから国民民主党を無視できないだろうが、衆院小選挙区で勝利に持ち込むには国民民主党を選択するより、日本共産党を選択することが実効性が高いことは明らかだ。「立憲共産党」と自民支持者や保守派から揶揄・攻撃されるだろうが、巷では「自民統一党」と反撃する声もあるようだ。
ともあれ、小選挙区で「野党共闘」の一歩を踏み出す機会が生まれたことは中道・革新支持者にとって大きな選択肢を得る機会になったことは間違いない。
岡田氏は「保守だけでどんどん右に向いていく今の政治でいいのかが問われている。リベラルや真ん中などを包含するような野党が、保守の与党と互いに競い合い切磋琢磨していくことを目指している」と市民対話で語っている。リベラル・真ん中を包含する野党の支持者に選択肢を提供することが、自公政権に対峙する選択肢として重要なのだと思われる。
次期総選挙を占う参院高知・徳島補選、衆院長崎補選は与野党「1勝1敗」となった。年内解散の可能性が全く消えたかといえば、そうとも言えない。国会論戦の成り行き次第ともいえよう。立憲は選挙戦で自民に対峙できる選択肢を提供できるよう努めよ。野党第1党の責任でもある。(編集担当:森高龍二)