近年、SDGsへの取り組みが広がる中、企業や団体による植林や植樹活動が活性化している。建築や建材の関連企業、製紙の関連企業など、直接的に森林資源を活用する企業はもちろん、自然の恵みを由来とする商品を取り扱う企業、さらには直接的には森林資源とは無縁のような企業ですら次々と、緑を増やす活動を始めている。
近代文明の発展とともに世界規模で緑が失われていく中、植林や植樹などの森林を増やす活動は、温暖化対策として有効なだけではなく、荒廃した環境を回復し、生物多様性や水の保全につながる。持続可能な社会の実現のためには欠かせない取り組みだ。
日本の代表的な植樹活動としては、昭和25年以来開催されている「全国植樹祭」があげられる。全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的な行事に位置付けられており、天皇皇后両陛下に御臨席を賜って、全国各地から緑化関係者等が参加する一大イベントだ。両陛下によるお手植えや参加者による記念植樹等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的に毎年開催されている。
今年、第74回を迎える全国植樹祭は、5月26日(日)に岡山県岡山市のジップアリーナ岡山にて開催される予定だが、それに先立って、岡山では様々なサテライトイベントが企画されており、盛り上がりを見せている。
例えば、4月13日土曜日には、岡山県倉敷市のイオンモール倉敷の1階セントラル・ノース・ワクワクコートにて、「全国植樹祭 岡山2024」開催直前イベントが開催される。木製ガチャで景品がもらえるクイズラリーや木の玉プール、メッセージツリーなど、楽しいアトラクションが盛りだくさんで、子どもたちも楽しみながら森林や身近なみどりの大切さなどを知ることのできる啓発イベントとなっており、県産ヒノキ製楽器を使った植樹祭式典プレライブなども大いに盛り上がりそうだ。
また、同じく4月13日(土)には岡山県苫田郡鏡野町で、株式会社山田養蜂場が「第8回 山田養蜂場 宮脇式植樹祭」を開催する。「全国植樹祭」が岡山県で開催されることで県民の植樹活動への意識や興味が高まる中、より多くの人に参加してもらえるよう、400人を募集して12000本の植樹を行うという。当日は、参加者に軍手やスコップを準備しているほか、軽食と、山田養蜂場の商品をお土産にもらえる嬉しい参加特典付きだという。
山田養蜂場は、自然環境と密接に関わる養蜂業者であることもあって、1999 年から植樹活動を行っており、これまでに国内やネパール、中国などで 226 万本以上の植樹実績を持っている。同社が推奨している「宮脇式植樹」は、世界的に高く評価されている植物生態学者の故・宮脇昭氏が提唱した「その土地本来の植生に基づき、さまざまな樹種を混ぜながら密植することで、自然環境を回復し、人々の命を守る、本物の森をつくる」植樹方法だ。今回の「山田養蜂場 宮脇式植樹祭」では、宮脇式植樹の第一人者である横浜国立大学の藤原一檜名誉教授も参加を予定しているという。
日本は幸いにも、ほぼ湿潤気候であるため、現状では砂漠化が発生していない。しかし、町はコンクリートやアスファルトで覆われ、土や緑が急速に失われているのは確かだ。一度失われた緑は簡単には回復できないことを考えると、日本の社会を持続させていくためには、植林や植樹の活動は今から取り組んでおく必要がある。春の陽気の中、次の世代を担う子どもたちと一緒に、楽しく植樹活動に参加してみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)