北海道・釧路市議会が3月15日、「企業・団体献金の全面禁止を求める意見書」を可決した。全国の都道府県議会や市町村議会がこれに続くことが「政治とカネ」問題の根絶、民主主義政治の基盤醸成、企業団体献金で歪めかねられない政治の正常化を後押しすることにつながると思われる。
釧路市議会の意見書は「自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題は政治資金規正法違反容疑で現職国会議員が逮捕されるなど、国民の中に不信や憤りが広がる重大な問題になっている」と憂いた。
また「議員個人への企業・団体献金が禁止されているにもかかわらず、企業や団体によるパーティー券の購入が可能になっていることは事実上の企業団体献金の抜け道になっている」と問題点を指摘。
「そもそも営利目的である企業が政党や政治家に対して資金提供することで影響力を行使し、『カネ』の力で政治をゆがめることはあってはならない」とその危険性を記した。
釧路市議会は、今回の裏金問題について「徹底した真相解明と制度の改革がなければ国民からの信頼は回復されない」と警鐘を鳴らし「国においては『政治とカネ』の問題を根絶するためにも、企業・団体献金を全面禁止にするように求める」としている。
意見書は岸田文雄総理、松本剛明総務大臣、衆院・参院の各議長に届ける。この意見書を真摯に受け止め、法定することを強く求めたい。
今更ながらだが、そもそも企業献金が民主主義のコストなどと説明する経団連の論理には違和感がある。意見、要望を政策に反映させることが目的と見るのが自然だ。
日本共産党の田村智子委員長は国会質疑で、元最高裁長官・岡原昌男氏が「会社の利益につながらない献金は株主に対する『背任』、見返りを要求するような献金は『涜職(とくしょく)罪』(汚職)になる恐れがあると指摘した」ことを紹介。『企業献金の本質』はまさにこれだろう。
企業団体献金の抜け道になっているパーティー券購入を含め、企業団体献金の全面禁止こそ、政党交付金制度創設の目的でもあったことを踏まえれば、今回の大規模組織犯罪ともいわれるような裏金問題を契機に、今度こそ「政治とカネ」問題の再発防止へ具体策を法定してほしい。
そのためにも、釧路市議会が示した意思表示を、他の自治体議会も次々、国会、政府に意思表示していくことを期待したい。(編集担当:森高龍二)