防衛装備庁が5月14日まで公募中の「安全保障技術研究推進制度」に応募しないよう学者らでつくる軍学共同反対連絡会幹事会が全国の国公私立大学に呼びかけている。応募することは「平和と人類幸福のために研究し軍事研究は行わないという大学の理念を放棄する」重大問題としている。
経済安全保障政策で研究者を軍事技術開発に動員する体制が整えられつつあると警鐘を鳴らしてきた東北大学名誉教授の井原聰名誉教授は「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」が成立すれば安全保障技術研究推進制度の研究も特定秘密に指定される可能性があり、市民の目の届かないところで「核兵器のようなモンスターを出現させることにもなりかねない」と強く警鐘を鳴らす。
2017年に日本学術会議も安全保障技術研究推進制度について「軍事費を原資に将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく防衛装備庁職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と問題点を提起してきた。
しかし大学の研究費が圧迫する中、軍事研究費は大幅に増額され、大阪公立大学や北海道大学、熊本大学などの応募が採択されるなど、応募大学は23年は23件と22年に比べ倍増している。
軍学共同反対連絡会幹事会は「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案が制定されれば安全保障技術研究推進制度による研究も、研究者の身元調査や研究交流や研究成果公表などで学問の自由の制限がなされないという保証がない」と問題提起した。(編集担当:森高龍二)