秘密の恣意的拡大は報道の自由侵すと廃案要求

2024年04月16日 06:29

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法案はすでに衆議院で可決、審議は参議院に移っている

 日本新聞労働組合連合(新聞労連)は経済安全保障上の重要情報を扱う民間事業者を身辺調査するセキュリティー・クリアランス(適正評価)制度を導入する「重要経済安保情報保護・活用法案」は調査対象が民間人に大幅に広がり、秘密範囲も拡大するとし「プライバシー侵害だけでなく、公益性のある情報を明らかにした記者や市民が刑事責任を問われる懸念は拭えない。市民の知る権利の制限や報道の自由の萎縮につながりかねない」として廃案にするよう求める声明を15日発表した。

 法案はすでに衆議院で可決、審議は参議院に移っている。新聞労連は「特定秘密保護法は、政府が指定できる特定秘密を漏洩すると日本の安全保障に著しい支障の恐れがある防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野に限り、適正評価の対象も情報を扱う公務員が中心だった。

 しかし、今回の新法案(「サイバー」「規制制度」「調査・分析・研究開発」「国際協力」の4分野を対象とする法案)は「適正評価の対象者が防衛産業以外の幅広い民間事業者や大学を含む研究者にまで拡大。漏洩すると安全保障に支障の恐れがある情報を政府が重要経済安保情報に指定できるようになり、政府が恣意的に秘密の範囲を指定できると強い批判を受けた特定秘密保護法より一層、規制対象になる情報の定義があいまいになる懸念が強まる」と指摘し、深刻な問題を含んだ法案であると提起している。

 新聞労連は「セキュリティー・クリアランス制度の調査範囲は、国籍、家族情報、犯罪歴、飲酒歴、精神疾患の有無にも及ぶ。調査には本人の同意が必要とされているが、従業員が業務に関連して情報を漏らした場合は企業にも罰金を科されるため、同意しなかった場合には懲戒処分や配置転換などの不利益な取り扱いも懸念される。労働者保護の観点からも重大な問題があり、内心の自由や表現の自由を侵す危険な法案」と警鐘を鳴らして、参議院で問題点を徹底的に明るみにすることを求める、と訴えている。(編集担当:森高龍二)