松本剛明総務大臣は27日の記者会見でNHKのラジオ国際放送で中国籍の外部スタッフが「魚釣島と付属の島は古来から中国の領土、NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します」(中国語で発言)「南京大虐殺を忘れるな、慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」(英語)と台本にないことを発言したことについて「公共放送としての使命に反するもので、遺憾だ」と語った。
松本大臣は「NHKの国際放送は我が国に対する正しい認識を培うことにより、国際親善の増進等を図るという重要な役割を担っており(今回の問題は)公共放送としての使命に反するもので遺憾」とした。
松本大臣は「政府の一員としては、改めて尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであることを申し上げる」と強調。
松本大臣は「その他の内容も含め、当該スタッフの発言は我が国の立場と全く相容れていない」とした。そのうえで「NHKにおかれては今般の放送に至った経緯を含めて調査中でと聞きており、結果も踏まえて再発防止策を講ずると承知している。総務省としてはNHKに対し、事実関係を正確に把握するとともに、原因究明、再発防止策を着実に行うよう求めたい」と語った。
しかし、松本総務大臣が語った「その他の内容も含め」のその他の内容がどこを指すのか定かでないが、南京大虐殺、731部隊については1938年に臨時招集され第1期陸軍乙種技術幹部候補生として中国北部を転戦した体験を綴った澤昌利氏が自らの体験を綴った「日本人よ、侵略戦争を忘れるな」(御茶の水書房、1987年7月25日発行)の中でも触れており、当時、歴史学者の家永三郎氏はこの著書を「本書には日本軍の侵略にさらされた中国人民の悲惨な運命を語る記事が随所に見える」と紹介している。
特に「日本軍が毒ガス戦を実施したことも明記されているし、悪名高い731部隊との接触についての記事もあって、日中戦争史の史料として高い価値を持つと言ってよかろう」と高評価し「侵略戦争であったこと」を史実として認識しておくことは平和を維持していくうえでも重要といえよう。
「731部隊」について澤氏は「医学と生物学を兵器に転用し、3千人以上に及ぶ『マルタ』と称された捕虜あるいは一般市民を材料として生体実験を重ね、大量殺りく兵器として細菌兵器の研究開発を行い、同時に中国(当時の支那)諸都市において細菌戦を実行した。731部隊は日本陸軍が生んだ悪魔の部隊である」と記述。
また「多数の中国人、ソ連人、モンゴル人、朝鮮人が捕虜になっていた」が、「捕虜たちは生きたまま細菌実験や生体解剖の材料とされ、少なくとも3千人以上が犠牲になった」と人道外れた残虐行為が歴然と行われたことを記述している。われわれ日本人はこうした歴史も知っておく必要がある。自虐史観でなく、史実を認識することこそが必要で、歴史修正主義に陥ってはならない。(編集担当:森高龍二)