海外で日本食がブーム。ロンドンで今、話題の日本食レストランとは?

2025年02月23日 08:28

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白鶴酒造が現地の代理店と組んで、イギリスのロンドンに新しい「居酒屋」を開業した

 海外で日本食ブームの波が起きている。2013年12月4日に「和食」がユネスコの人類の無形文化遺産に登録されてから、アメリカやヨーロッパ諸国、中国などを中心に日本食への関心が高まっているが、コロナ禍の規制解除後はさらに、チェーン展開する企業の進出等の増加、日本への関心の高まりによる日本食需要の増加、インターネットやSNSを通じた情報拡散などが相まって、中南米や、タイなどのアジア諸国でも日本食レストランが激増しているようだ。

 農林水産省が2023年に10月、外務省協力のもと、各国現地で「日本食レストラン」として扱われている店舗等を対象として調査を実施したところ、2021年の前回調査時と比べ、アジアで約2割増、中南米で約2倍、そして日本食ブーム歴の古い欧州においても約2割も増加していることが分かった。

 また、日本食と同じく、日本酒も海外では「SAKE」と呼ばれ大きな人気を獲得している。

 輸出量も年々増加しており、2023年度は景気減速やインフレによる消費マインドの低下など各国の事情により減衰したものの、それまでは13年連続で過去最高額を更新。2024年財務省通関統計によると、日本酒輸出実績は再び上昇しており、金額、数量共に前年度越え、輸出額434.7億円(昨対比:105.8%)、輸出量3.1万㎘(昨対比:106.4%)となった。中でもアメリカ、韓国、フランスなどが過去最高額となり、輸出国数も過去最高を更新している。

 そんな中、日本を代表する老舗酒蔵の白鶴酒造が現地の代理店と組んで、イギリスのロンドンに新しい「居酒屋」を開業した。オープンした「HAKU CAFE & IZAKAYA」は、Ealing Broadway駅から徒歩約7分の場所にあり、昼はロンドンでは珍しい定食スタイルの食事や甘酒ラテ、そば茶などを提供するお洒落なカフェ、夜は刺身や酢の物、焼き鳥や揚げ出し豆腐など、日本ではお馴染みの居酒屋メニューを提供している。そしてもちろん、この店の目玉はSAKEだ。白鶴の純米大吟醸酒をはじめ、爽やかで軽快な味わいが日本でも人気の発泡性日本酒「淡雪スパークリング」、SAKEカクテルなどが豊富に揃っている。

 昨年9月に昼のカフェ営業のみでプレオープンして以来、話題を呼び、1月のグランドオープン以降は夜も営業し、アルコールの提供も始まっている。現地の他の日本食レストランと比べるとリーズナブルな価格で和食と日本酒が楽しめるとあって、女性客を中心に人気が高まっているようだ。酒と惣菜各三種が付いた飲み比べペアリングセットなど、酒蔵が関わる居酒屋ならではのメニューも楽しめる。

 日本の食には、やはり日本の酒が合う。美味しい純米酒や大吟醸酒は、日本食の味をより一層、引き立ててくれることだろう。海外の日本食レストランでは定番の寿司やてんぷら、近年では焼き肉やすき焼き、しゃぶしゃぶなどの店舗も増えているが、日本食はそれだけではない。高級嗜好に走るのではなく、あえて親しみやすい居酒屋メニューに目を付けたのは、さすが「まる」で日本一を維持し、日本の食卓で愛され続ける白鶴酒造といえるだろう。高級酒だけでなく、普通酒のような手頃な日本酒が受け入れらたら本当の意味で日本酒が定着したといえそうだ。

 日本国内はコロナ禍の規制解除以降、インバウンドで沸いているが、現地で直接日本の酒や食を堪能してもらう事で、より一層日本への興味関心を高めて、さらに輸出が増える事を期待したい。(編集担当:藤原伊織)