【コラム】開幕した上海モーターショーは「NEV(新エネ車)」の見本市 価格競争にも負けない新型車を投入する日本勢

2025年04月27日 08:36

TOYOTA bZ7

トヨタの中国向け新型車「bZ7」は現地開発モデルとして、広州汽車集団有限公司(GAC)、広汽トヨタ自動車有限会社(GTMC)などと共同で開発したモデル 全長が5mを超えるBEVのフラッグシップセダンだ

 中国・上海で4月23日に開幕した上海モーターショー2025(第21回上海国際自動車工業展覧会)で日本のメーカー各社が出展車を公開した。4月23日~24日はプレスデーで、同モーターショーは5月2日まで、上海の国家会議・展示センターで開催される。上海モーターショー2025には、26の国と地域から1000社近くの中国及び海外の有名企業が出展し、展示総面積は36万平方メートルを超え、その規模は過去最大を更新している。

 自動車の生産・販売台数で世界一の中国市場は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など新エネルギー車(NEV)の販売が全体の4割を占める。そうしたなかEV化で大きく出遅れた日系各社も新型モデルで巻き返しを図るべく、ショーで積極的に新エネルギー車を出展した。

■日産、ピックアップの新型PHEV「フロンティア・プロ」を初公開

 日本メーカーの出展概要について、まずは何かと話題の日産自動車。日産は、三菱自のプラグインハイブリッド車(PHEV)技術に協力を得てシステムを移植した、と思われるピックアップトラックの新型PHEV「フロンティア・プロ」を初公開した。

 新型PHEVフロンティア・プロは、新エネルギー車(NEV)の新型車を出展すると予告していたモデルで、4月末に発売予定のEV(電気自動車)ミッドサイズのセダン「N7」とともにプレスカンファレンスでお披露目した。発表の新型PHEVのフロンティア・プロは、日産の製品ラインアップ拡充を図り、多彩な新エネルギー車を提供するというブランドの指針を示すモデルだ。

 その新型フロンティア・プロのボディサイズは、全長×全幅×全高5520mm×1960mm×1950mm。ホイールベース3300mmと堂々たる体躯。パワーユニットは1.5リッター4気筒ガソリンエンジンにモーターを組み合わせ、システム統合出力300kW超、トルク800Nmとされている。

■ホンダ、中国市場向けEV「烨」シリーズ第2弾公開

 ホンダはショー会場のブースで、中国市場向けEV「烨(yè:イエ)」シリーズの第2弾となる「広汽Honda GT・東風Honda GT」を世界初公開した。

 広汽Honda GTおよび東風Honda GTは、烨シリーズのフラッグシップモデルとして新たなドライビングプレジャーの提供を目指したEV。デザインはロー&ワイドなシルエットとし、広汽Honda GTはシームレスで洗練された未来感、東風Honda GTは見る人に刺激を与えるエモーショナルな未来感という、それぞれのモデルが目指す世界観を表現している。

 ホンダのトピックは、寧德時代新能源科技股份有限公司(CATL)との電動化技術の共同開発だろう。次世代EVへの進化を目指し、バッテリーセルを直接車体にレイアウトした高効率プラットフォームをCATLと共同開発するとともに、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーをホンダとして初採用し、烨シリーズ第3弾モデルへ搭載する。

■マツダ、 電動クロスオーバーSUV「MAZDA EZ-60」

 米トランプ関税政策の影響が甚大とされるマツダは、マツダが出資する現地法人「長安マツダ汽車有限公司が、新型電動クロスオーバーSUV「MAZDA EZ-60(マツダ・イージーシックスティ)」を、上海モーターショーにおいて公開した。

 公開された「MAZDA EZ-60」は、マツダと合弁パートナーである重慶長安汽車股份有限公司の協業を通じて、長安マツダが開発・製造を行う電動車(新エネルギー車)の第2弾となるモデルだ。BEVとPHEVを揃える。昨年10月に中国で発売した「MAZDA EZ-6」とともに電動車ラインアップを拡充する商品として、2025年中の発売を予定する。

 ボディ寸法は、全長×全幅×全高4850mm×1935mm×1620mm。駆動方式はRWDだ。走りのメカニズム面では前ストラット式、後マルチリンク式のサスペンション、多様な運転シーンに対応する電子制御ダンパーを採用し、人馬一体の走りを提供。航続距離は、BEVモデルが約600km、PHEVモデルは1回の給油で1000km以上を想定している。

■トヨタ、中国向けバッテリーEVの拡充を発表

 トヨタも、上海モーターショー2025の会場において、カーボンニュートラル社会の実現に向けたマルチパスウェイの取り組みのもと、中国にてバッテリーEV(BEV)のラインアップを拡充していくことを発表した。

 中国は、新車販売におけるBEV比率が高く電動化が急速に進む先端市場。TOYOTAブランドではbZ4X、bZ3、bZ3X、bZ5に続くBEVとして新型車「bZ7」を、LEXUSブランドでは既報のとおりUX、RZに続くBEVとして新型FFセダン「ES」を発表した。

 新型車「bZ7」は現地開発モデルとして、広州汽車集団有限公司(GAC)、広汽トヨタ自動車有限会社(GTMC)、トヨタ知能電動車研究開発センター(中国)有限会社(IEM by TOYOTA)が共同で開発したモデルだ。全長が5mを超えるセダンタイプのBEVで、中国BEVラインアップのフラッグシップに相応しい最新の知能化技術を搭載予定。1年以内の発売に向け、開発を進めているという。

 中国の自動車市場は価格競争が激しい。そのなかでも、トランプ米大統領の関税で米国市場の縮小が懸念される日系メーカーにとって重要市場だ。日本勢が新エネ車(NEV)で中国勢に対抗していくには、中国市場に対応した独自の取り組みを進めていかなければならない。(編集担当:吉田恒)