出光決算、最高益更新でも売上減少 “脱石油依存”へ進む巨大転換

2026年05月13日 11:58

今回のニュースのポイント

出光興産の2026年3月期決算は、売上高が前期比11.8%減の8兆1,058億円となった一方、親会社株主に帰属する当期純利益は65.2%増の1,719億円となりました。原油価格の下落により売上は減少しましたが、燃料油事業における在庫評価益等のタイムラグ影響や、電力・再生可能エネルギー事業の赤字幅縮小が利益を押し上げました。同社は2025年11月5日に富士石油を連結子会社化して国内基盤の最適化を進めると同時に、次世代電池材料や高機能材など非石油分野への転換を加速させています。

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 2026年3月期の業績は、売上高8兆1,058億円(前期比11.8%減)、営業利益2,122億円(同30.8%増)となりました。売上高の減少は、主力の燃料油事業において原油価格が前期を下回って推移したことや、資源事業における石炭市況の下落、生産量減少などが主な要因です。

 大幅な増益を牽引したのは燃料油事業です。中東情勢の緊迫化による供給懸念やホルムズ海峡封鎖への警戒感などを背景に、期中に原油価格が急上昇したことでプラスの「タイムラグ影響(在庫評価益等)」が発生しました。これにより、燃料油セグメントの利益は1,777億円(同45.5%増)と大きく伸び、資源事業の利益減を十分にカバーしました。

 事業構造の変化も鮮明になっています。高機能材事業は、潤滑油の海外販売が好調に推移したほか、アグリライフ事業の新規連結も寄与し、利益は334億円(同18.5%増)と成長しました。また、電力・再生可能エネルギー事業は、過去に発生した発電所トラブルの解消やバイオマス発電の収益改善により、損失が18億円(前期は123億円の赤字)まで大幅に縮小しました。石炭などの資源事業が市況悪化で利益半減となる中、戦略領域が着実に利益を積み上げています。

 同社は国内の石油製品需要について、乗用車保有台数の減少や燃費改善、物流効率化などを背景に「緩やかな減少が続く」と分析しています。この構造変化に対応するため、2025年11月5日に富士石油を連結子会社化しました。製油所の生産体制最適化とコスト競争力強化を通じて国内基盤を盤石にし、そこから生み出されるキャッシュを「次世代電池材料」や「再エネ・循環型事業」といった成長領域へ再投資する構想です。

 2027年3月期からは、グローバルな経営管理と投資家への説明力強化を目的に、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用します。IFRSベースの次期予想では、在庫影響を除いた実力値ベースで当期利益900億円を見込んでいます。

 中東リスクという外部環境に左右される資源企業の宿命を抱えつつも、出光興産は今、ガソリンスタンドの会社から「総合エネルギー・素材企業」へと、石油依存からの脱却を伴う構造転換を急いでいます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)