コスモHD決算、純利益28%増 原油・為替の変動下で再エネ拡大を加速

2026年05月13日 12:13

今回のニュースのポイント

コスモエネルギーホールディングスの2026年3月期決算は、売上高が前期比4.4%減の2,677,582百万円となった一方、親会社株主に帰属する当期純利益は28.4%増の74,023百万円となりました。原油価格の乱高下や円安進行が業績に影響する中、石油事業の収益改善や再生可能エネルギー事業の成長が利益を押し上げました。一方で、次期はホルムズ海峡を巡る物流リスク等の仮定に基づき、大幅な減益予想を示しています。

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 2026年3月期の業績は、売上高2,677,582百万円(前期比4.4%減)、営業利益144,790百万円(同12.9%増)となりました。売上高の減少は、ドバイ原油価格が期初の下落局面から年度末の急騰まで乱高下したことや、国内における石油製品の緩やかな需要減退が影響しました。

 増益を牽引したのは石油事業の改善です。原油価格の変動に伴う在庫評価の影響を除いたセグメント利益は928億円(前期比2億円増)と横ばいでしたが、在庫影響を含む利益は763億円(同145億円増)に達しました。また、戦略領域である再生可能エネルギー事業も、新規サイトの運転開始によって売上高165億円(同32億円増)、セグメント利益28億円(同15億円増)と順調に収益を拡大させています。

 当期は、原油・為替の変動が大きい事業環境となりました。原油価格は期初に1バレル75ドル台まで下落しましたが、年度末には中東情勢の緊迫化によるホルムズ海峡の物流リスクへの警戒感などを背景に、121ドル台まで上昇しました。為替も米国の利下げ観測後退や中東危機を背景に円安が進行し、年度末には159円台となりました。

 こうした情勢を受け、同社は次期の見通しを慎重に見積もっています。2027年3月期の予想では、売上高2,870,000百万円を見込む一方、親会社株主に帰属する当期純利益は44,000百万円と大幅な減益を計画しています。これは、中東からの原油輸入に依存するリスクを鑑み、ホルムズ海峡を巡る物流リスクや調達コストの上昇、石油開発事業の販売数量減少といった収益押し下げ要因を、一定の前提として織り込んだためです。

 国内石油需要は人口減少やEV化、燃費改善などを背景に中長期で減少傾向が続くとみられており、国内元売り各社は精製能力の最適化と非石油分野の育成を急いでいます。コスモエネルギーHDにおいても、中期経営計画のスローガン「Oil & New」のもと、資本市場で意識されるPBR(株主資本倍率)1倍水準を達成しつつ、29,695百万円の自己株式取得を実施するなど資本効率の改善を両立させています。

 石油精製で得た収益を再エネや新領域へ再投資する構造転換は、エネルギー安全保障への対応と脱炭素投資を同時に進める戦略の成否を握っています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)