テレビ朝日HD決算、広告と配信が伸長 地上波とネット両輪へ

2026年05月15日 09:18

今回のニュースのポイント

テレビ朝日HDの2026年3月期連結業績は、売上高3,394億円(前期比4.8%増)、純利益296億円(同14.9%増)となり、売上高と各段階利益で過去最高を更新しました。個人全体で2年連続、世帯で4年連続となる「視聴率3冠」を達成し、スポット広告収入が過去最高を記録。有料会員の増加で収益化局面に入りつつあるABEMA等のインターネット事業も大幅増益を牽引しました。周辺事業は前期の反動等で減収減益となりましたが、広告依存から脱却し配信やIP、イベントを組み合わせた多角的な収益構造への転換が進んでいます。

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 テレビ朝日ホールディングスが発表した2026年3月期決算は、売上高3,394億8,700万円、営業利益261億8,100万円、経常利益365億7,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益296億5,400万円となり、売上高と各段階利益において過去最高を更新する極めて好調な着地となりました。内需の緩やかな回復を背景に、主力の地上波広告と急成長するデジタル領域が業績を押し上げました。

 セグメント別で成長を牽引したのはテレビ放送事業です。当期は個人全体で2年連続、世帯で4年連続となる「視聴率3冠」を達成。良好な媒体力を背景に、タイム収入は大型スポーツ番組の寄与で815億4,100万円(前期比2.3%増)を確保しました。特筆すべきはスポット収入で、上期の旺盛な需要を確実に取り込んだほか、単価重視の戦略が奏功し、過去最高となる1,052億3,100万円(同11.2%増)を記録しました。外食、情報通信、医薬品など広範な業種で出稿が伸長しています。

 インターネット事業も新たな収益の柱として存在感を高めています。売上高360億8,700万円(前期比13.3%増)、営業利益53億1,000万円(同43.6%増)と高い伸びを示しました。「ABEMA」は2,200万WAU前後で推移し、有料会員の増加を背景に収益化局面へ入りつつあります。TVerやYouTube公式チャンネルの登録者数も過去最高を更新し、デジタル配信が生活インフラとして定着しつつあります。

 一方、周辺事業は明暗が分かれました。ショッピング事業は生活必需品の価格上昇による購買意欲の慎重化から、売上高184億円(同9.0%減)、営業利益10億8,200万円(同28.1%減)と苦戦。その他事業は音楽出版が好調で売上高524億円(同3.0%増)と増収を確保したものの、開局65周年イベントの反動などから営業利益は10億7,400万円(同66.9%減)に留まりました。

 財務面では自己資本比率80.1%と高い水準を維持し、次期は年間100円への増配を予想しています。2027年3月期の通期予想については、売上高3,500億円を見込む一方、イベント・IP体験型施設となる複合型エンターテインメント施設「東京ドリームパーク」開業に伴う先行費用や、タイム・スポット収入の減収を織り込み、営業利益は200億円と減益を想定しています。放送局の役割が視聴率競争から、配信・IP・ファン課金を多角的に組み合わせた「コンテンツ価値の最大化」へと移り変わるなか、同社はネット領域の拡大をさらに加速させる局面に入っています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)