今回のニュースのポイント
日焼け止めは「紫外線を防ぐ」から、肌悩みに応える多機能化へシフトしています。国内大手は耐久性重視の「防御型」や、毎日使いに特化した「使用感型」へ分化。また、近年ではシワ改善や美白有効成分などを盛り込んだ「スキンケア一体型」を追求しています。商品選びの軸は、スペックの高さから「生活シーンと付加価値」に変化しています。
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「せっかくの外出、日差しは防ぎたいけれど肌への負担も気になる」——。本格的な夏を前に、ドラッグストアやデパートの店頭には無数の日焼け止めが並んでいます。かつてはSPFやPAといった数値の高さが主な選定基準でしたが、現在の市場では日焼け止めの役割を細分化し、再定義する動きが加速しています。メーカー各社は「防御」「使用感」「スキンケア」という3つの軸で、明確な棲み分けを図っています。
まず、資生堂に代表される国内大手メーカーの多くが追求しているのが「防御性能の追求」です。ここでは紫外線だけでなく、汗や水、さらには熱や空気中の微粒子といった外部ストレスから肌をいかに守り抜くかという技術開発が行われています。特に、過酷な屋外環境やレジャー用途を意識し、環境に応じて防御膜を維持・強化するような処方が目立ちます。いわば、外的環境から肌を保護する「防御機能」としての立ち位置です。
対照的に、日常の快適さに軸足を置くのがコーセーをはじめとする「使用感重視型」のラインアップです。通勤や普段使いにおいて、白浮きやきしみ、ベタつきといったストレスを排除。軽いつけ心地や伸びの良さを追求し、毎日のベースメイクと違和感なく馴染む設計が特徴です。日焼け止めを特別な対策ではなく、日常生活に溶け込む「快適なツール」として位置づけています。
そして現在、急速に市場を拡大しているのが、日焼け止めを朝のお手入れの延長と捉える「スキンケア一体型」です。その典型例として確認できるのが、山田養蜂場が2026年3月1日に発売した「RJエクセレント 薬用リンクルクリア美肌色UV」です 。この製品は、UVカット効果はもちろん、医薬部外品として有効成分「ナイアシンアミド」を配合 。紫外線対策と同時に、シワ改善やメラニンの生成を抑える美白効果を狙った設計となっています 。
さらに、独自開発の「デセン酸リッチローヤルゼリーエキス」などの保湿成分を配合し 、潤いとハリを保つ美容液としての機能を併せ持っています 。UVスペックを日常使いに適したSPF36・PA+++に設定する一方で 、ブルーライトや近赤外線、大気中の微粒子(PM2.5など)のような環境ストレスからも肌を守る機能をうたっており 、現代の生活習慣に寄り添った設計と言えるでしょう。また、石けんで落とせる処方や 、紫外線吸収剤不使用などの配慮も 、スキンケア重視層のニーズを反映しています。
こうした市場の変化は、消費者に「何を目的に日焼け止めを塗るのか」という問いを突きつけています。海や山へ行くなら防御重視、毎日を軽やかに過ごしたいなら使用感重視、そして日中の時間も積極的に肌をケアしたいならスキンケア一体型といった具合に、目的ごとに商品が分かれているのです。この傾向は主要メーカーに共通して見られ、日焼け止めはSPFの数値を競う段階から、個々の生活スタイルに最適化された「役割の選択」へと転換が進んでいます。
もはや日焼け止めの多様化は、商品数の増加ではなく、機能の高度な分化といえます。今後、この市場はさらに、どのような付加価値を優先するかという、生活シーンに密着した変化が続くとみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













