学校給食で学ぶ子どもたちの日常。その食卓を支える国産食材の割合は全国平均90.0%を維持する一方、地場産物の活用には大きな地域差がみられます。学校給食が映し出す食料安全保障と地産地消の課題をデータから読み解きます。
今回のニュースのポイント
文部科学省が公表した令和7年度の学校給食における地場産物及び国産食材の使用割合(金額ベース)によると、全国平均の国産食材使用率は90.0%となり、高い水準を維持しました。一方で地場産物使用率は全国平均57.2%にとどまり、都道府県間で顕著な格差がみられます。東京都は7.6%、大阪府は6.6%と1割を大きく割り込んだ一方、山口県は85.1%、栃木県は82.5%に達しました。世界的な供給不安定化による食料安全保障への関心が高まるなか、学校給食の現場が映し出す食料調達の構造的課題を読み解きます。
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文部科学省の調査(※金額ベース)によると、令和7年度の学校給食における国産食材使用率は全国平均90.0%となりました。多くの都道府県が85〜95%台と軒並み高い水準にあり、長野県が97.1%、鳥取県が98.4%、山口県が97.7%、高知県が96.6%など、9割台後半まで国産率を高めている地域も目立ちます。輸入食品価格の上昇や為替の円安基調が長期化する厳しい環境下にあっても、給食の現場は「ほぼ国産食材によって支えられている」状態であり、この数字は日本の基礎的な食料供給網が一定の機能を保っていることを測る重要なマクロ指標と言えます。
しかし、生産地域と消費地域を一致させる「地産地消」の視点に立つと、状況は全く異なります。地場産物使用率の全国平均は57.2%にとどまり、地域的なばらつきが極めて鮮明となっています。上位には山口県の85.1%を筆頭に、栃木県が82.5%、鳥取県が79.7%、島根県が78.4%、北海道が75.0%と、農業県や地方県が7〜8割台に達しています。これとは対照的に、大阪府が6.6%、東京都が7.6%、神奈川県が21.1%、京都府が22.2%、埼玉県が44.3%となるなど、大都市圏を中心とする都府県は全国平均を大きく下回る著しく低い水準へ沈んでいます。
この「東京7.6%・大阪6.6%」という極めて低い数字はインパクトを持ちますが、だからといって都市部の給食そのものの質が低いと誤解すべきではありません。実際のデータを見ると、地場産物率が単桁にとどまる東京都の国産食材率は90.8%、大阪府も91.3%に達しており、いずれも全国平均の90.0%を上回る水準を確保しているからです。つまり、都市部において地場産物比率が低いことは「輸入頼み」を意味するのではなく、「他県産の国産食材に広く依存している」という構造的な制約によるものです。
大都市圏は人口規模が大きく、給食で必要とされる食材量が膨大な一方、農地面積が小さいため、地域内だけで安定供給できる品目や量には物理的な限界があります。そのため、米や野菜、肉・魚などを周辺県や全国各地から調達する「広域国産ネットワーク型」にならざるを得ず、結果として地場産物比率が伸びにくいのが実態です。
国産比率9割という水準は、輸入小麦や油脂など一部の品目を除けば、学校給食に必要な多くの食材を国内で賄えていることを示しています。昨今のように中東情勢の緊迫化に伴う肥料価格高騰や海上輸送リスクが意識されるなかでも、学校給食レベルでは「国内の生産と物流で安定供給できている」点は、日本の食料安全保障上の大きな強みといえます。一方で、地場産物比率にこれほど顕著な地域差があることは、都市部ほど他地域の生産や物流に依存していることの裏返しでもあり、災害や物流混乱が発生した際には脆弱になりやすいリスクも内包しています。
学校給食において地元産食材を積極的に活用することは、山口(85.1%)や栃木(82.5%)などの高比率県が示す通り、地域農家への安定した販路提供や地域内でお金が回る仕組みづくりに貢献します。さらに、輸送コストの抑制やフードマイレージの削減といった環境負荷の観点からも、「地産地消」の持つ意義は大きくなっています。単に「国内産を確保する」というマクロの調達力だけでなく、各地域が「どこまで地域内で自律的に調達できるか」というサプライチェーンの強靭化が、今後は重要なテーマとなりそうです。
学校給食の数値は、子どもたちの食卓の安全を示しているだけではありません。地場産物利用の地域格差は、そのまま日本の食料供給力の偏りと、地域経済が抱える自給構造の現実を鮮明に映し出していると言えそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













