中東情勢は日本経済をどう揺らすのか 日本の原油輸入の93%が通過するホルムズ海峡

2026年07月21日 13:49

画・輸出企業、輸出先「中国」がトップ。中米韓で8割。東アジア連携が7割。

貨物船に積載されたコンテナ。中東情勢の緊迫化は、海上輸送や物流コストを通じて日本経済に影響を及ぼす可能性があると、内閣府は「世界経済の潮流2026年Ⅰ」で分析している。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

内閣府の「世界経済の潮流2026年Ⅰ」は、中東情勢の緊迫化が世界経済に与える影響を分析しています。日本は原油輸入の約93%をホルムズ海峡経由に依存しており、情勢の悪化はエネルギー価格の上昇だけでなく、物流や企業活動、家計にも影響を及ぼす可能性があります。報告書は、中東の地政学リスクがエネルギー価格や物流を通じて日本経済に伝わる構造を示しています。

本文
 近年、中東地域を巡る緊張の高まりは、世界経済の先行きに対する不透明要因となっています。特に、エネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼る日本にとって、中東情勢の動向は、国内の物価や産業活動に影響を及ぼし得る重要な問題です。内閣府が公表した「世界経済の潮流2026年Ⅰ」でも、地政学リスクが国際商品市場や物流網を通じて世界経済へ及ぼす波及経路が整理されています。

 世界のエネルギー輸送における重要な海上交通路の一つが、ペルシャ湾の出口に位置するホルムズ海峡です。資料によると、日本の原油輸入のうち、同海峡を通過する割合は93.0%に達しています。主要国と比べても高いこの割合は、中東地域で軍事的な緊張が高まり海峡の通航が滞った場合、日本が大きな影響を受けやすい構造にあることを示しています。

 仮に中東情勢が悪化し海峡の通航に支障が生じた場合、その影響は原油価格の上昇にとどまりません。液化天然ガス(LNG)の調達にも支障が生じる可能性があるほか、海運会社が危険海域を避けるために航路を変更し、海上輸送に遅れが生じる可能性があります。さらに、航行リスクの高まりに伴って船舶保険料や海上運賃が上昇し、物流コストを押し上げる可能性があります。

 こうしたコスト上昇の影響は、日本国内の企業活動や家計にも及びます。原油やLNGの価格上昇は、ガソリン価格や電気・ガス料金の上昇要因となります。また、物流費や原材料費の上昇分が商品価格へ転嫁されれば、幅広い品目の価格を押し上げる可能性もあります。企業にとっても、採算の悪化や調達の停滞を通じ、設備投資や生産活動に影響が及ぶ可能性があります。

 今回の内閣府の分析は、中東の地政学リスクが単なる燃料高にとどまらず、供給網、物流、物価を通じて日本経済全体に波及し得るリスクであることを示しています。日本には、エネルギー調達先の分散や供給網の強靱化など、中長期的な対応が引き続き求められそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)