シーイーシーが開設した『フィジカルAI実証ラボ』。複数メーカーのロボットや新旧装置が混在する製造現場を想定し、AIによるティーチング・プログラムの自動生成やSim2Realなどの実証を進める(画像:シーイーシーリリースより)
今回のニュースのポイント
株式会社シーイーシーは9日、AIが現実世界の機械やロボットを認識・判断・制御する「フィジカルAI」の事業化に向け、「フィジカルAI実証ラボ」を開設したと発表しました。今年度の実証では、AIがロボットの「何を、どの順で行うか」という動作手順を生成する「ティーチング・プログラムの自動生成」と、シミュレーション空間の学習モデルを実機へ展開する「Sim2Real」の2つを主要テーマとして検証します。複数メーカーのロボットや新旧装置が混在する現場を想定し、オンプレミス環境を含めた社会実装の可能性を実機で評価します。
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画面上で文章や画像を生成してきたAI技術が、現実世界の機械や物理空間を直接制御する「フィジカルAI」へと応用範囲を広げ始めています。製造現場におけるロボット活用では、人が作業内容に応じて細かな動作や手順を事前に設定する「ティーチング」という工程が不可欠であり、これがロボット導入や作業変更における負担となってきました。シーイーシーが9日に開設を発表した「フィジカルAI実証ラボ」は、人がロボットに動きを細かく指示する従来手法から、AIが動作手順を組み立てる仕組みへの展開を目指し、実際の機械で検証を行うための拠点です。
今回の実証実験では、アプローチを「ティーチング・プログラムの自動生成」と「Sim2Real(シム・トゥ・リアル)」という2つの実証テーマに整理して検証が進められます。
1つ目のテーマであるティーチング・プログラムの自動生成では、作業目標や環境条件に対してAIが「何を、どのような順序で行うか」というプログラムを自動的に生成し、その妥当性や安全性を仮想環境上で評価します。ここでは、安全境界の設定や異常時のフェイルセーフ動作、サイクルタイム、さらにはタクト変動が与える影響評価などが主要なモニタリング指標となります。熟練者の手作業による負荷軽減や多品種少量生産への迅速な対応を目指した検証の位置付けです。
2つ目のテーマであるSim2Realは、シミュレーション環境で学習・検証したモデルや制御戦略を、現実世界の装置・ロボットで再現・稼働させるための技術体系です。シミュレーション環境で得られたAIモデルを現実のロボットへ展開し、現実環境での再現性や安定稼働性を検証します。ここでは、稼働継続率、制御の誤差率、トラブルからの復旧時間、セーフティインシデントの発生頻度といった運用指標を通じて、実運用に耐えうる水準の確保を目指します。
さらに、製造現場の実態に即した実装環境の検証も行われます。実際の工場では、すべての設備が同一メーカーや最新世代のモデルに揃えられているケースは限られます。今回のラボでは、複数メーカーのロボットや新旧装置が混在するラインを想定した制御検証が進められます。また、クラウドに依存しない利用も視野に、オンプレミス(自社導入型)環境を含む構成での実現を目指します。
会社側は、クラウドに依存せず中小の製造現場でも使用できる「フィジカルAI」の社会実装を目指すとしています。今回の取り組みは、複数メーカーや新旧の装置が混在する製造現場を想定し、AI技術と現場の機械制御をどのようにつなげられるか、社会実装の可能性を探る検証と整理されます。なお、「どんな旧型設備でも接続できる」あるいは「導入コストを大幅に削減できる」といった点まで実証されたわけではありません。
シーイーシーは今回開設したラボを拠点としてフィジカルAIの事業化に向けた実証を進める方針です。現時点では自動生成技術や混在環境での稼働可能性をテストする段階であり、AIによる自動化が完成したわけではありません。
今後は、今回設定された安全性や復旧時間といった指標の測定結果とともに、実際の製造現場への導入事例が出た段階で、ティーチング作業にかかる負担や導入・運用コストがどの程度変化するかといった点が、次の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













