来年度予算要求143.1兆円、「補正依存」から転換へ 成長投資14.2兆円、補助金・基金も総点検

2026年09月06日 19:45

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財務省は2027年度一般会計の概算要求額が約143.1兆円になったと発表。補正予算依存からの脱却を掲げ、約14.2兆円の投資枠を精査する一方、補助金や租税特別措置、基金などの見直しを進める

今回のニュースのポイント

片山財務相は2026年9月4日の閣議後記者会見で、2027年度一般会計概算要求額が約143.1兆円になったと発表しました。政府は2027年度予算を「補正予算依存から脱却し、恒常的施策は当初予算で措置する」予算編成改革の初年度と位置づけています。片山財務相は、2025年度補正予算と2026年度当初予算の合計約141兆円と比較すべきだと説明し、その差を約2.5兆円増としました。新設の投資枠(全体約14.2兆円)の厳格査定や、補助金・基金を点検する「日本版DOGE」を通じて、予算配分の構造転換を図ります。

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 片山財務相兼内閣府特命担当相は2026年9月4日の閣議後記者会見で、各省庁から提出された2027年度(令和9年度)一般会計の概算要求額を取りまとめた結果、約143.1兆円となったと発表しました。

 このほか、防衛力強化や国土強靱化などについては金額を示さない「事項要求」も行われています。143.1兆円は各省庁の要求を取りまとめた段階の金額で、政府として確定した予算額ではありません。今後、年末に向けた財務省の査定を経て最終的な政府予算案へと絞り込まれます。

■比較対象として「前年度補正+当初」の141兆円を提示

 約143.1兆円という要求額に対し、片山財務相は「大幅な増加との指摘は当たらない」との認識を示しました。

 片山財務相は、今回の予算編成改革を踏まえ、比較すべき対象として2025年度補正予算と2026年度当初予算の合計額(約141兆円)を挙げました。今回の予算編成では、これまで秋の大型補正予算で手当てされることが多かった恒常的な施策を最初から当初予算に組み込む「予算編成改革」を推進しています。そのため、2026年度当初予算単体との比較ではなく、補正予算を含む合算額との比較で考えるべきだとし、その差は約2.5兆円の増加にとどまると整理しています。

■なぜ「補正予算依存」からの脱却を目指すのか

 従来の予算編成では、秋に経済対策を決定し、短期間で大規模な補正予算を組む手法が定着していました。片山財務相は、恒常的な施策については当初予算の編成プロセスで議論する一方、災害が発生した場合やパンデミックで急な対応が必要になった場合などには、補正予算の編成が必要になるとの考えも示しています。

 毎年恒常的に必要な施策をあらかじめ当初予算へ移すことで、各事業の費用対効果や政策目的の重複などを、通常の予算編成プロセスの中で時間をかけて精査することが可能になります。具体例として国土強靱化などの施策があげられています。

■投資枠は全体で14.2兆円、査定では「民間投資誘発」を重視

 「伸ばす予算」の軸となるのが、今回初めて設定された「強く豊かな日本」投資枠です。一般会計での要求額は約12.2兆円に上ります。さらに、GX(グリーン・トランスフォーメーション)やAI・半導体分野を対象とするエネルギー対策特別会計での投資枠要求を加えると、全体で約14.2兆円規模となります。

 財務省が同日公表した投資枠の査定方針において片山財務相は、成長への寄与度や民間投資を引き出す「誘発効果」、供給力や「稼ぐ力」の向上につながるかを厳格に精査する考えを示しました。単に枠を設けて支出を増やすのではなく、費用対効果の検証を通じて「真に効果的な施策」へ絞り込む構えです。

■補助金・租税特別措置・基金を点検する「日本版DOGE」

 一方、「見直す予算」として掲げられたのが、租税特別措置や補助金、基金の徹底的な再点検です。片山財務相は会見でこれを「いわゆる日本版DOGE」と表現しました。

 具体的には、施策の優先順位を洗い直して重点化するとともに、政策目的に照らした重複の排除や事業の整理・統合を進めます。また、基金については、長期滞留資金の防止や機会費用の軽減を考慮した国庫返納の仕組みを、2027年度予算編成過程で具体化すると説明しました。片山財務相は「眠っている資金を活きた資金に変えていく」と述べ、歳出・歳入両面での見直しを推進する姿勢を強調しました。

■責任ある積極財政と「通年の国債発行額」の管理

 財政運営の基本路線について片山財務相は、強い経済の構築と財政持続可能性を一体で実現する「責任ある積極財政」を掲げました。今後の予算編成過程においては、歳出改革の努力を継続すると同時に税収動向などを見極め、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていく方針です。

 そのうえで、通年の国債発行額を適切にコントロールし、市場からの信認を維持する重要性に言及しました。なお、高市首相が言及した「40兆円程度」について、片山財務相は2025年度補正後の国債発行額を前年度以下の40兆円程度に抑えた実績を説明する一方、2027年度の具体的な目安としては明言せず、歳出・歳入の全面的な見直しを進める考えを示しました。
 
 恒常的な施策を当初予算へ移し、約14.2兆円の投資枠について成長への寄与や民間投資の誘発効果を査定する一方、補助金や基金などを洗い直す。政府が進める「補正予算依存からの脱却」がどこまで当初予算中心の財政運営につながるかは、年末に向けた具体的な予算査定のプロセスが鍵を握ります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)