発注ないのに金型1048個を無償保管 公取委、自動車部品ニチリンに下請法違反で勧告

2026年09月04日 06:47

今回のニュースのポイント

公正取引委員会と中小企業庁は2026年9月3日、自動車用ホースなどを製造販売する株式会社ニチリン(神戸市)に対し、改正前の下請法に基づく勧告を行いました。ニチリンは下請事業者25名に対し、自社や顧客が所有する計1,048個の金型や治具を貸与していましたが、対象製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、保管費用を負担せず無償で保管させていました。公取委は、この行為が下請法で禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に該当すると認定しました。

本文
 公正取引委員会は2026年9月3日、自動車用ホースなどの製造販売を手がける株式会社ニチリン(資本金21億5800万円)に対し、改正前の下請法(下請代金支払遅延等防止法)第7条第3項の規定に基づき勧告を行ったと発表しました。本件は近畿経済産業局の調査を受け、同年7月16日に中小企業庁長官が公取委に措置請求を行った事案です。

 公取委の発表によると、ニチリンは下請事業者25名に対し、自社または自社の顧客が所有する金型および治具(金型等)を貸与し、自動車用ホース、住宅関連ホース、産業用ホースなどの製造を委託していました。

 しかし、遅くとも2024年9月1日から2026年7月28日までの間、当該金型等を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、発生する計1,048個の金型等の保管に係る費用を負担することなく、下請事業者25名に保管させていました。公取委は、自己のために経済上の利益を提供させることで下請事業者の利益を不当に害したとして、改正前の下請法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)違反と認定しました。

 金型等の保管費用を巡り、ニチリンは下請事業者25名と協議したうえで、2026年7月31日までに2024年9月1日から2025年12月31日までの間の金型等の保管費用等として計978万9525円を支払っており、公取委はこの金額に今回問題となった保管費用相当額の一部が含まれると認定しています。

 公取委は勧告において、金型等を保管させた費用相当額のうち、2026年7月31日までに各事業者に支払った額を除いた額について、公取委の確認を得たうえで速やかに下請事業者に支払うよう求めました。さらに、今回の行為が法令違反であったことを取締役会の決議で確認すること、今後の再発防止に向けて役員や発注担当者への研修を行うなど社内体制を整備すること、勧告内容と講じた措置を社内および取引先中小受託事業者へ周知・通知することなどを求めています。

 なお、下請法は2026年1月に「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」に改称されましたが、今回対象となった製造委託は改正前に行われているため、経過措置に基づき改正前の下請法が適用されています。

 今回、公取委が問題としたのは、ニチリンが当該金型等を用いる製品を長期間発注していないにもかかわらず、25事業者に計1,048個の金型等を費用負担なしで保管させていた点です。公取委は、残る保管費用相当額の支払いに加え、社内体制の整備や取引先への通知などを求めています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)