経産省、「ROE重視」の次へ 成長投資を促す新ガイダンスを公表

2026年07月21日 16:55

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経済産業省は21日、日本企業の持続的な成長に向けた新たな指針「成長投資ガイダンス(価値創造レポート)」を公表し、成長投資を重視する方向性を示した。

今回のニュースのポイント

経済産業省は21日、日本企業の持続的な成長に向けた新たな指針「成長投資ガイダンス(価値創造レポート)」を公表しました。これまでのコーポレートガバナンス改革では資本効率やROE(自己資本利益率)の改善が重視されてきましたが、新たな指針では成長投資や企業価値の創造をより重視する方向性を打ち出しています。背景には、企業業績や株価が改善する一方で、賃上げや大胆な投資が十分に進んでいないという課題認識があります。本記事では、この政策転換が持つ意味と日本企業への影響を整理します。

本文
 2014年の「伊藤レポート」公表以降、日本企業の経営では資本効率やROEの向上が中心課題として掲げられてきました。取締役会の監督強化や株主との対話促進が進んだ結果、企業の収益性意識は高まり、主要企業のROE向上や株価の史上最高値更新といった明確な成果が表れました。

 しかし、約10年が経過した現在、日本経済は「新たなパラドックス」に直面しています。企業利益や株主還元が大幅に拡大した一方で、その成果が持続的な賃上げや、設備投資・研究開発といった成長投資へ十分に結びついていない点です。資本効率の短期的な改善を過度に意識するあまり、投資初期に利益率が下がるリスクを恐れて、将来に向けた大胆な資本投下を躊躇する傾向が生じています。

 こうした課題を克服するため、新ガイダンスが提示したのが「EP(エコノミック・プロフィット:経済的付加価値)」の創出と拡大という考え方です。これは単に自社株買いなどでROEの数値を跳ね上げるのではなく、資本コストを上回る利益を生み出す事業に対して、設備投資や研究開発、人的資本、M&Aといった投資を面として拡大し、生み出す付加価値の「総量」を増やしていくアプローチです。

 企業価値を単一の指標ではなく、中長期的な価値創造全体で評価する考え方への転換が、今回のガイダンスの大きな特徴といえます。今回の指針は、これまでの「ROE重視」を否定するものではなく、ROE単一の指標に依存した経営から、中長期的な価値創造を軸としたガバナンスへのアップデートを意味しています。企業と投資家が短期的な数値追尾から脱却し、成長投資を通じた企業価値の拡大に向けて建設的な対話を深められるかが、今後の日本経済の成長力を左右することになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)