最低賃金引き上げ目安決定 地方重視で地域格差の是正へ

2026年07月29日 10:25

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厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館。中央最低賃金審議会は2026年度の地域別最低賃金額改定の目安を取りまとめ、厚生労働大臣へ答申した。

今回のニュースのポイント

中央最低賃金審議会は、2026年度の地域別最低賃金額改定の目安を取りまとめ、Aランクを54円、BランクとCランクを56円としました。都市部より地方の引き上げ幅を大きく設定し、地域間格差の是正を図る内容です。今後は各都道府県の地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえて審議し、正式な最低賃金額を決定します。

本文
 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月28日、2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金額改定の「目安」を取りまとめ、厚生労働大臣へ答申しました。今回示された目安では、全国の都道府県を経済実態に応じて3つのグループに分け、大都市圏を中心とするAランクを54円、地方圏を含むBランクとCランクを56円としました。仮に目安通りの引き上げが行われた場合、全国加重平均の上昇額は55円(改定後の全国加重平均1,176円、上昇率4.9%)となります。これまでの改定では都市部の伸びが注目されがちでしたが、地方の引き上げ額を相対的に高く設定した配分が今年の特徴です。

 背景には、政府が掲げる「2020年代に全国平均1,500円」という目標とともに、地域間格差の是正を意識した政策対応があります。都市部と地方の賃金格差は、地方における人材確保や若い世代の定着を考える上でも重要な課題となっています。審議会の公益委員見解においても、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げ、格差の縮小を図る必要性が明記されました。目安通りの改定が実現すれば、最高額と最低額の比率は昨年度の83.4%から84.3%へと改善し、金額差の縮小に向けた一歩となります。

 一方で、最低賃金の引き上げに伴い人件費負担が増す中小企業や小規模事業者への配慮も強く打ち出されています。審議会では、企業利益が全体として改善傾向にあり、春季労使交渉でも高い賃上げ水準が続いていることを確認したものの、原料高や労務費の価格転嫁が十分にできず苦慮する事業者が依然として多い実態も分析されました。このため答申では政府に対し、事業場内の最低時給を引き上げた事業者を支援する「業務改善助成金」の拡充や、取引適正化・価格転嫁対策の徹底、さらには省力化投資への補助など、中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げできる環境整備を強く要望しています。

 今回示された引き上げ額はあくまで全国的な整合性を図るための「目安」であり、正式な改定額ではありません。今後のプロセスとして、各都道府県に設置されている地方最低賃金審議会が、それぞれの地域の経済動向、雇用情勢、企業や労働者の賃金実態などを踏まえて調査審議を行います。地方審議会による答申を経て、最終的に各都道府県労働局長が今年度の正式な地域別最低賃金額を決定します。

 この最低賃金改定は、最低賃金近傍で働く労働者やパート・アルバイトの時給水準を直接引き上げるだけでなく、地域全体の賃金相場や企業の総人件費にも影響を及ぼす可能性があります。企業には、価格転嫁や業務プロセスの見直し、生産性向上に向けた投資への対応が一段と重要になります。

 今後は、各都道府県の地方審議会において地域の独自性や自主性がどう発揮され、どのような額で正式決定されるかが注視されます。あわせて、最低賃金の引き上げが地方の所得向上や地域経済への波及につながるかに加え、価格転嫁や生産性向上を支える国の施策が中小企業・小規模事業者へどこまで浸透するかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)