人手不足で変わる企業コスト サービス価格に広がる「人件費インフレ」

2026年07月27日 17:11

画・人手不足、建設業で高水準ながらも減少傾向、代って情報通信で上昇傾向。

人手不足や賃金上昇を背景に、建設など人手への依存度が高い分野ではサービス価格の上昇が続いている。企業向けサービス価格指数(SPPI)からも、人件費が企業コストへ波及する動きがうかがえる。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

企業向けサービス価格指数では、人件費比率の高いサービスと低いサービスの双方で価格上昇が続いています。特に労働集約型のサービスでは、人手不足や賃金上昇を背景に価格へ反映される動きがみられ、企業コストの構造にも変化が表れています。

本文
 企業の賃上げに関するニュースが連日報じられる中、その影響は従業員の給与袋にとどまらず、企業間で取引される「サービス価格」にも波及しています。人件費の上昇が各種サービスの提供コストを押し上げ、サービス価格へ波及する動きが鮮明になってきました。いわば「人件費インフレ」とも言える状況です。

 日本銀行が発表した2026年6月の企業向けサービス価格指数(SPPI)は、こうした人件費高騰の影響がサービス全般に広がっている現状を映し出しています。

 日銀が公表している参考指標のうち、人件費の比率が高い分野を集計した「高人件費率サービス」は前年同月比2.7%増となり、堅調な上昇を維持しました。一方で、設備や原材料などの影響を受けやすい「低人件費率サービス」も3.7%増と高い水準を示しています。賃上げによる直接的な人件費の増加だけでなく、エネルギーや資材高といった他のコスト要因も重なり、サービス価格全般に底上げの圧力がかかっていることが分かります。

 なぜ今、これほどサービス価格が上がり続けているのでしょうか。大きな要因の一つが、深刻化する人手不足とそれに伴う労働コストの上昇です。

 製造業などの「モノ」であれば、生産ラインの自動化や原材料の切り替えによってコスト増を吸収する選択肢があります。しかし、人が直接提供するサービス分野では省力化に限界があり、人件費の上昇がダイレクトに提供コストへ跳ね返りやすくなります。人手確保のための賃上げが不可避となる中、サービス対価への反映が進む動きがみられます。

 この動きは、人手に依存する幅広い分野で確認できます。

 6月の内訳を見ると、企業の採用難や人件費高騰を映す「労働者派遣サービス」が前年同月比3.4%増となりました。また、人手不足と労務費の増加が続く「土木建築サービス」は3.6%増、技術者不足や労働環境改善への対応が進む「自動車整備」は3.9%増と高い伸びを示しています。さらに、デジタル化への対応需要やIT人材の確保に伴うコスト増加などを背景に、「ソフトウェア開発」も3.0%増と着実な上昇が続いています。

 賃金上昇が企業のコストを通じてサービス価格へと波及する動きが広がる現状は、価格と賃金の関係が変化しつつあることを示す一つの材料と言えます。

 企業の経営にとっても、単に原材料価格や燃料費を管理するだけでなく、人材確保に伴うサービスコストの増加を前提とした事業計画や価格戦略を構築することが、今後の持続的な成長を左右する重要な視点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)