トクヤマ、半導体向け窒化アルミ粉末の生産能力30%増強 山口に国内第2拠点、28年稼働へ

2026年09月13日 09:39

トクヤマイメージ

窒化アルミニウム(AlN)粉末と半導体関連材料の生産設備を表現したイメージ。トクヤマは山口県柳井市に国内第2の生産拠点を整備し、AlN粉末の生産能力を現状比で約30%増強する計画。営業運転は2028年4月の開始を予定している。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

総合化学メーカーのトクヤマは9月10日、半導体製造装置の部材や放熱材料として使われる窒化アルミニウム(AlN)粉末の新たな生産設備を、山口県柳井市の「先進技術事業化センター」内に建設すると発表しました。同製品の生産拠点は現在、山口県周南市の徳山製造所のみであり、今回の新設備は国内2カ所目の生産拠点となります。新設備の導入により、同社の窒化アルミニウム粉末の生産能力は現状比で約30%増強される見通しです。営業運転の開始は2028年4月を予定しています。また、今回の設備整備は経済安全保障推進法に基づく認定供給確保計画のもとで実施されます。

■ 窒化アルミ粉末、生産能力を30%増強

 株式会社トクヤマは9月10日、山口県柳井市に位置する先進技術事業化センターの敷地内に、窒化アルミニウム(AlN)粉末の新生産プラントを設けることを決定したと発表しました。

 現在、同社は山口県周南市の徳山製造所で同製品の一元生産を行っていますが、柳井市へ新プラントを新設することで国内第2の生産拠点を構築します。新設備の完成・稼働によって、トクヤマの窒化アルミニウム粉末全体の生産能力は現状から約30%向上する計画です。建設工程を経て、営業運転の開始時期は2028年4月を見込んでいます。

■ 半導体製造装置と放熱材料に使われるAlN

 今回増産される窒化アルミニウムは、高い熱伝導性、電気絶縁性、およびプラズマガスに対する耐食性を兼ね備えたセラミックス材料です。

 主な用途としては、半導体製造装置向けの部材や、熱伝導材料に使われる放熱フィラーが挙げられます。半導体そのものの材料ではなく、製造工程における装置部材や、稼働時に発生する熱を処理する周辺材料を支える素材として機能します。

■ 1985年から40年以上生産

 トクヤマにおける窒化アルミニウム粉末事業は、1985年に徳山製造所で製造・販売を開始して以来、40年以上の歴史を持ちます。

 同社は独自の還元窒化法を用いて窒化アルミニウム粉末を生産しており、高品質な製品の安定供給によって顧客から信頼を得てきたと説明しています。今回の投資は、長年培ってきた既存の素材事業における生産能力を拡充し、国内第2拠点を加える取り組みとなります。

■ AI関連投資の拡大で中長期の需要増を予想

 生産能力増強を決断した背景についてトクヤマは、生成AI(人工知能)関連投資の拡大や半導体の高性能化を伴う半導体市場の成長が続き、窒化アルミニウム粉末の需要も中長期的に増加すると予想していると説明しています。

 同社は、中長期的に見込まれる需要増に対応するとともに、供給安定性をさらに高めるため、生産能力を増強するとしています。

■ 経済安全保障推進法の認定計画で整備

 今回の設備整備における重要な側面として、政策制度との連動が挙げられます。本事業は、経済安全保障推進法に基づく安定供給確保のための認定供給確保計画に沿って実施されます。

 法律に基づく認定計画のもとで国内の生産基盤を整備するプロジェクトとなります。なお、今回の発表資料において、新プラントの建設投資金額や政府支援額などの財務上の詳細数値については記載されていません。

 半導体デバイスの進化が進む一方、それを支える製造装置部材や熱対策材料の供給能力確保も重要な課題となっています。40年以上の生産実績を持つ同社が第2拠点を設け、2028年4月に向け生産能力を約30%引き上げる今回の計画は、中長期の需要見通しへの対応と、経済安全保障推進法に基づく認定供給確保計画のもとでの生産基盤強化を進めるものとして、今後の動向が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)